★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

神殿にて2

各話表紙:嘘つき聖女

 そのまま舌を引っ張り出され強く吸われる。

 幾度となく強弱をつけて舌を吸われ、口内の粘膜を余すところなく舐められると、慣れていない快感に力が抜けてしまう。

 アシャンの体から力が抜けたのがわかると、ダリルはわずかに目を細めた。

 初々しいアシャンの反応がわずかながら彼を煽ったらしい。

 アシャンの呼吸が苦しくならないように、長めの息継ぎをしながら繰り返し角度を変えてダリルはアシャンに口づける。

「ん、ふ……んんんっ……んあぁ、はあぁ……っ」

 ダリルの舌先が上顎に触れたかと思うと、執拗にそこを攻められ、アシャンの体が敏感に反応する。

(いや、恥ずかしい。どうしてこんな変な声がでちゃうの? 聞きたくない、聞かれたくない……!)

 羞恥と快感から、アシャンの眦から涙がぽろりとこぼれ落ちた。

 そして唇が解放される頃には、アシャンの舌はくたくたになっていた。

「ばかっ! こんなのおはようのキスじゃないっ!」

「そうですか。ですが私にとってはこれがおはようのキスなので、覚悟してくださいね。なにしろ最終的には、あなたと一つにならなくてはならないのですから」

 アシャンが顔を真っ赤にして怒ったが、ダリルには全く効果がないようだ。

 そればかりか、怒るアシャンを可愛くてたまらない、といった様子で見つめている。

「おはようのキスも無事済みましたし、身支度を整えて朝食といきましょう」

 微笑んだダリルがアシャンの頬に口づけ、身支度をするためにベッドを後にした。

 一人ベッドに残されたアシャンは、わなわなと体を震わせて叫んだ。

「ダリルのばかぁーっ!」

 アシャンの叫びを隣の部屋で着替えながら聞いたダリルは、小さな声を上げて笑った。

 

 朝食を済ませて家を出たアシャンとダリルは神殿に向かう。

 朝日が民家の屋根を優しく照らし、思ったより温かな朝で眠気を誘う。

 アシャンは出そうになったあくびを噛み殺したが少しだけ口を開けてしまった。

 それを見ていたダリルがくすりと笑う。

「昨日は熟睡できなかったようですね」
「だって、あなたが一緒に眠るって言うから……」

 ダリルの言葉に頬を赤く染めながらアシャンは答えた。

 なにしろ同じベッドで眠ったのだ。

 恋愛経験がないアシャンには、若い男性と並んで眠るだけでも十分大事件なのだ。

 しかも、隣で眠るのは査察官のダリルで、彼はアシャンにとってとても魅力的に感じられる存在だ。

 並んで歩いている今でさえ、いつもより鼓動が速く自分がわずかに興奮しているのがわかる。

 なにしろ朝の目覚めからして、アシャンにとっては強烈だったのだから。

 自分の胸を枕に整った容貌のダリルが寝ていて、さらに目覚めのキスと称して、起き抜けに濃厚に口づけられた。

「それは失礼いたしました。ですがこれもあなたのためです、アシャン」
「それは、わかってるけど……もっとほかの方法はなかったの?」

「はい。あれが唯一の方法です。特別措置なので、くれぐれも他人に口外しないようにお願いします」

「ええ、わかってるわ」
(あんな恥ずかしいこと、誰にも言えないもの)

 アシャンがいたたまれず、頬を赤らめたまま俯いたのに気づいたダリルが、さり気なく話題を変える。

「そういえば、神官服よくお似合いですよ。あなたが身につけているものはすべて手作りだと言っていましたが、頭につけているそのクローバーの飾りもそうなんですか?」

「うん。市場に出かけたとき、装飾屋さんでみかけて同じものが欲しくて作ったの。リボンカチューシャっていうのよ。今わたしがつけているみたいに、リボン状になってて好きなところで結べるの。三つ編みと一緒に編み込んだりしても可愛いのよ」

 手作りの物に話題が移り、アシャンの瞳が生き生きと輝く。

「なるほど。あまりにも出来がよいので店で売っているものかと思いました。本当に器用なんですね」

「そうね、器用さだけは自慢できるかも。身の回りの物はほとんど手作りするしかなかったし」

「素晴らしい技術だと思いますよ。今度、私にもなにか作っていただけませんか?」
「え? でも、あなたなら欲しいものは大体なんでも買えるでしょ?」

 アシャンがきょとんとして尋ねると、ダリルが小さく笑う。

 

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~