★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

神殿にて

各話表紙:嘘つき聖女

「ニーナはあったかいわね」

 自分の小さな妹をそっと胸に抱き、アシャンは頬を擦り寄せた。

「アシャンおねえちゃんも、すごくあったかいよ! おっぱいもあったかいよ!」「もう、この子ったら」

 自分の胸にすり寄るニーナを、アシャンはぎゅっと抱きしめた。

(こうしていると本当にあったかい……子どもって本当に体温が高いわね)

 抱きしめたニーナの背中を、いい子いい子と撫でていると、なぜかどんどん重くなっていく。

 はっとしてニーナの背中に注目すると、たくさんの悪霊がくっついていた。

「嫌っ! 早くニーナから離れて! どっかいって!」
「おねえ、ちゃ……」

 妹のニーナはその重みで抱いていられなくなり、地面に下ろすしかなくなった。

 しかし、なおも重さを増したのか、そのままニーナは地中に埋まっていく。

「ダメ! 待って! ニーナ!」

 小さな妹を引き上げようと、アシャンは必死に手を伸ばした。

「ニーナっ! ……あれ?」

 視線の先には天井に向けて伸ばされた自分の腕が見える。

 どうやら自分は横たわっているらしい。

「あ……なんだ……夢」

 この見慣れない天井は、昨日ダリルにつれられて来た彼の家だ。

 そのことを思い出し、さっき見たものが改めて夢だとわかると、アシャンはほっと安堵の息を吐いた。

 嫌な目覚め方だったが、体は十分休めたようで軽い感じだ。

 しかし、どうにも胸のあたりに違和感を感じる。

 それでアシャンが視線を天井から胸元に移すと、そこには綺麗な顔で寝息を立てているダリルの姿があった。

 なぜこうなったのかは不明だが、要するにアシャンの胸を枕のようにしている。

「な、な、なんで!?」

 慣れない出来事に挙動不審になりつつ、アシャンは頭が真っ白になった。

 心臓が御者を失った馬車の馬のように激しく脈打ち、呼吸が速くなる。

 瞬時に顔が熱くなり、アシャンはどうしたらいいのかわからない。

 それほどに動揺している。

 アシャンがなにもできず固まっていると、位置を正すようにダリルが頭を横にずらした。

 ダリルの白い毛先が服で隠れていない部分を掠め、アシャンはビクッと体を強張らせた。

 アシャン自体にそのつもりはなかったが、体が勝手に反応してしまったのだ。

 服越しにダリルの体温が胸に伝わってきて、その熱にアシャンはなぜかドキドキしてしまう。

(やだ……恥ずかしい。どうしてこんなことに……)

「胸がものすごい勢いで早鐘を打ってますね。大丈夫ですか?」
「お、起きてたの!?」

 不意にダリルの声が聞こえ、アシャンは驚いた。

「今、目覚めました。おはようございます、アシャン」

 こちらまでつられて微笑んでしまうような笑みで、ダリルは挨拶をした。

「おはよう……じゃなくて! 早くどいて……っ」
「その必要はありません。あなたには私に慣れていただかなくてはなりませんし」

 胸に頭を置いたまま、ダリルは悪びれた様子もなくアシャンを見上げてきた。

「で、でも……っ。恥ずかしい、から……お願い」

 あまりの恥ずかしさに、アシャンの瞳が涙で潤む。

「わかりました」

 アシャンはホッとした。しかし、それはダリルの次の発言で取り消される。

「あなたがおはようのキスをしてくれたら、ここをどいてあげます」
「う、わ、わかったわ……」
(おはようのキスなら、おでこにチュってするだけだし……)

 少しだけ上体を起こすと、アシャンはダリルの額に触れるだけのキスをした。
 しかしダリルは微塵も動く気配がない。

「ダリル、どいて……」

「どきません。こんな子供だましのキスでは、少しも条件を満たしていません。私が手本を見せて差し上げます」

「え?」

 とアシャンが口にしたときには、すでにお互いの口が重なり合っていた。

 気づいたときには咥内をダリルの熱い舌が這い回っていた。

 びっくりして逃げようとすると、きつく舌を絡められ軽く歯を立てられた。

「んんぅ……っ、ん……」

 

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~