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聖女候補3

各話表紙:嘘つき聖女 嘘つき聖女~

 ひとしきり盛り上がったあと、アシャンは隣の聖女候補に尋ねてみる。

「ねえ、あなたはどうして聖女候補に名乗りをあげたの?」

「アタシは、ズバリお金が欲しいからよ。うわさだとあちこちで聖女になってお金持ちになってる人たちがいるらしいのよ~。もちろん査察官をうまく出し抜いてだけどね」

 と彼女は声を潜めて教えてくれた。

「そういうあなたはどうして聖女候補になろうなんて思ったの?」
「わたしは……家族を養うため。九人家族だから、ちょっと家計が苦しいの」

 アシャンが苦笑すると、少し哀れみの瞳を向けられ、「頑張ってね」と応援されてしまった。

 やがて二人目の聖女候補が呼ばれた。最初に馬車に向かった女性はまだ中にいるようだ。

(戻らないってことは最初の人は、無事聖女と認められたのかしら?)

 そんなことを考えて待つ間に、ひとり、またひとりと馬車に呼ばれ、とうとうアシャン一人になってしまった。

(みんな聖女候補に選ばれたってこと? わたしだけ選ばれなかったらどうしよう……)

 一人だけ広場に残されたアシャンに不安がつのる。

 なんとしても聖女に選ばれて、報奨金をもらいたいのが本音だ。

「どうぞこちらへ」

 そうこうするうちに使いの者がアシャンのところに来て、馬車に案内された。

 初めて乗る馬車は、意外と中が広く高級感が溢れている。

 向かって左側に先程の綺麗な顔の査察官が座っていた。

「おかけになってください。いろいろお話を聞かせていただきます」
「は、はい」

 柔らかな笑みを査察官――ダリルに向けられ、少しばかりときめきながらアシャンは向かいの席に腰掛けた。

 それに緊張も加わり、鼓動が速くなる。

(一体どんなことを聞かれるんだろう……つつがなく終わるといいんだけど)

「では、お名前を教えていただけますか?」
「アシャン・マーテルと申します」
「おいくつですか?」
「二十二です」

 アシャンが答えると、ダリルはすらすらと紙に書き記す。

 そしてまた質問を投げかける。

「聖女の役割をご存知ですか?」
「はい。世間にはびこる邪教から人々を救うために、クレセント教を広めるんですよね」

 アシャンの問にダリルは微笑み、小さく頷いた。

「そうです。この一、二年で邪教徒の数が倍に増えています。その対策として神殿側がとった対策が、聖女たちに正しい国教を布教してもらうことです。そのため聖女には『癒やしの力』と清い心が必須となります。己の欲を満たすために聖女候補になろうなど、言語道断です。奉仕の心で人々を正しい方向に導くことが大切です」

「はい」

 ダリルの説明を聞きながら、アシャンの胸のうちに罪悪感がわきあがる。

 家族のためとは言え、お金欲しさにアシャンは聖女候補に名乗りをあげたのだから。

 それも、こんなに綺麗で神の僕といった様子のダリルに口にされると、余計に胸が痛い。

(だけど、やっぱりお金は欲しい……みんなにもっといいものを食べさせてあげたいし、肌触りのいい毛布をかけてあげたい。家の壁も補強したいし……)

「どうかしましたか?」

 いきなり黙り込んだアシャンを気遣うようにダリルが言った。

「いえ、なんでもありません」
「そうですか。では、次は聖女としての適正を見てみましょう」
「え? 適正、ですか?」

「ええ。しっかりと『癒やしの力』がある者を聖女として認めなければ、神殿の威信に関わりますから。さあ、こちらの円盤に手をかざしてください」

 アシャンの前に美しい装飾がなされた円盤が差し出された。

 なにか魔法の呪文のようなものが書かれており、真ん中に水晶がはめ込まれている。

「……」

 恐る恐る右手を円盤にかざすと、アシャンの手の下で淡く発光する。

「もういいですよ、手をどけてください」

 ダリルに促され手を円盤からどけると、水晶が灰色に近い紫に変化していた。

 もやもやとして、なぜか不安感を煽られる色だ。

「どうやらあなたには聖女の資格がないようです。この水晶の色が濁るということは、欲に囚われていることを表します」

「そんな! 困ります!」

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~