★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

悪霊憑きと浄化5

各話表紙:嘘つき聖女

「フリルたっぷりで可愛い……今度作ってみようかな」

 思わず作ってしまいたくなるアシャンだ。

 しかしよく観察すると、右足の付け根辺りから裾まで、きわどいスリットが入っている。

 気をつけて動かないと太腿が見えてしまいそうだ。

 少し気が引けたが、ほかに着る服はないのでアシャンはネグリジェを身に纏う。

 壁に埋め込まれた姿見で確認すると、中々に似合っている。

 脱衣所から廊下に出ると、すでに召使いが控えていて別の部屋に案内された。

 ドアを開けられ促されるように中に入ると、ソファーに座ったダリルが目に入る。

 彼も風呂を済ませたようで、簡素な上着とズボンを履いている。

「湯加減はいかがでしたか?」
「ちょうどよかったです」
「そうですか。のどが渇いたでしょう、こちらに来てレモン水でもいかがです?」
「はい、いただきます」

 ダリルのいうように、のどが渇いていたアシャンは素直に従った。

 ダリルの隣に座ると、ガラス製の瓶からガラスのコップにレモン水を注がれる。

 どうぞと手元に差し出されたコップを受け取り一口飲むと、乾いた体に染み渡った。

 レモン水を飲むアシャンを見守っていたダリルが、話し始める。

「今日は一日大変でしたね。私も査察官という立場上いかなる理由があろうとも、聖女と偽った者をそのまま帰すというわけにはいかないんです。不快な思いをさせてすみませんでした」

「それはそうですよね。もとはと言えば嘘をついた自分が悪いんですから……」

 アシャンは今更ながら自分の愚かな行為に恥ずかしくなる。

「わかっていただけて安心しました。それでは明日の予定を説明します。朝は六時に起きて、八時に神殿へ向かいます。夕方の五時になったら帰宅です」

「はい、わかりました」

「あなたの浄化が済むまでは、私は神殿にとどまり査察は他の者に任せる手筈になっています」
「すみません、わたしなんかのために……」

 なぜか自分がダリルの足を引っ張っているような罪悪感を感じ、アシャンはそう口にした。

「なんか、ではありません。あなたもまた愛されるべき神の子ですから。悪霊を浄化しきるまで共に頑張りましょう」

「はい。ありがとうございます」

 アシャンの言葉にダリルは淡く微笑んだ。

「そこで一つお願いがあるのですが」
「なんでしょうか?」

「敬語はやめていただけませんか? 浄化にはお互いの信頼が大事ですから、他人行儀なのは距離を感じます」

「で、でも……」

 悪霊を祓ってくれる人に対して、普段と同じ口調で話すことは失礼だと思うと、アシャンは返答に迷う。

「どうかお願いします。私はこれが通常なので、お気になさらず。手始めに私の名を呼び捨ててみてください」

「えっ、そんな……」
「簡単ですよ。ダリル、と三文字発するだけのことです。さあ、言って?」
「……ダ、……ダリ、ル」
「そんなに遠慮しないで、もっと大きな声でどうぞ?」

 クスクス笑いながらダリルに促されると、なんだかできそうな気がしてアシャンは口にする。

「ダリル」
「いい感じです。では、もう一回」
「ダリル」
「よくできました、アシャン」
「……っ」

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~