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悪霊憑きと浄化3

各話表紙:嘘つき聖女 嘘つき聖女~

 慈悲深い笑みを浮かべているのであろうが、今のアシャンにはダリルが神にも悪魔にも見える気がした。

 そして、ダリルはさらに続ける。

「いかがいたしますか?」
「…………っ」

 微笑むダリルと、追い詰められた獲物のように冷や汗をかくアシャン。

「ほ、本当に本当なのよねっ?」

 どうしてもダリルの言うことが疑わしく信じきれないアシャンは、念を押すように確認する。

「ええ、皆やっていることです」

 平然と言ってのけるダリルが、アシャンには胡散臭く思えてならない。

「神殿がそんなことしてるなんて、一度も聞いたことないんだけど!」

「あの辺境の村までは、さすがに情報が伝わっていないでしょうね。それにこれは稀なケースですし、浄化方法のこともあり秘密裏に行われているものですから」

「そんな……信じられない……」

「信じる信じないは、あなたの自由ですが、早く決断したほうがよろしいですよ。事態は一刻を争う状況です。……あなたの子宮に巣食った悪霊が、あなたの魂と融合してしまうと浄化は厳しいものになります。今ならまだ間に合います」

「…………」

 ダリルの言葉にアシャンは苦悩する。

 悪霊憑きのままで実家に帰る訳にはいかないし、もちろん浄化してほしい。

 だからといって、初対面同然のよく知らない者と体を重ねることに、アシャンは大きな抵抗を感じていた。

(だってそうじゃない。こういうのって、お互い愛し合ってる者同士が行う行為でしょう? それをいくら浄化の力があるからといって、よく知りもしない相手と体を重ねるなんてこと――)

 そのとき、アシャンを強烈な目眩が襲い、そのまま彼女はソファーに倒れ込む。

 体が鉛のように重くて一ミリも動けない。

「失礼します」

 短く告げるとダリルはアシャンの隣に座り、彼女を抱き起こすと、躊躇することなく唇を重ねた。

 気だるい意識の中、アシャンは自分の唇を割り咥内に入ってくる肉厚の舌を感じた。

 熱くぬるついた舌は、アシャンの咥内を満遍なく撫でるように這い、それから丹念に舌を絡められる。

 始めは特になにも感じなかったが、時間が経つごとにじわじわと快感が押し寄せてくるのがわかった。

 しかし、キスに慣れていないアシャンは息苦しくて、それを察したダリルが一度口を離す。

「恥ずかしいかもしれませんが、私の唾液をしっかり飲み込んでください」

 アシャンの息が整うと、再びぴったりとダリルが唇を重ね、唾液を流し込まれた。

 咥内から食道を流れ落ちる唾液の感覚に、アシャンはゾクリとした。

 それから少しの間、咥内を愛撫されていると、ふっと体が軽くなるのがわかった。

 それと同時にダリルが口を離す。

「ほら、出てきましたよ。あなたの肩に乗っていた悪霊です」

 そう言ってダリルが指さした先に黒い靄のようなものが、漂っている。場所は天井の辺りだ。

「う、うそ……あんなものが、わたしに……」

 見るからに禍々しい黒い靄が、あんなものが自分の中にいたのかと思うと、アシャンはゾッとした。

「これでわかったでしょう?」

 そう言って微笑んだダリルが、神聖魔法を唱えると悪霊は宙に溶けるようにすうっと消えた。

 実際、目の前に事実を突きつけられても、アシャンは信じきれない。

 いや、認めるのが怖いのかもしれない。

 なにしろ、おぞましい悪霊が自分に取り憑いているのだから。

「あなたには、たった今から私と共に行動してもらいます。悪霊が暴走したら大変ですし、異論はありませんね?」

「……はい」

 返事をしたくなかったが、悪霊が暴走したら自分では対処できない。

 浄化はどちらにせよ必要だ。

 だから、アシャンは心の奥では納得していないが、ダリルの言うことをきくことにした。

「それでは、そろそろ仕事の終わる頃合いですし、一緒に帰るとしましょう」
「一緒に?」

「はい。今、話したでしょう? 私と行動を共にしてもらうと。それはつまり私と生活するということです。悪霊を浄化し終えるまで、ずっと」

「……わかり、ました」

 というわけで、気は進まないが、アシャンはダリルと共に彼の家に向かうこととなった。

 

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~