★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

悪霊憑きと浄化2

各話表紙:嘘つき聖女

「はい?」

 目を丸くするアシャンを見て、ダリルは小さく笑みを漏らす。

「悪霊は、あなたの子宮に根深く巣食っています」

 ダリルの言葉に、思わずアシャンは自分の下腹部に視線を移した。

 自然と掴んでいたダリルの服から手が離れ、のろのろと再びソファーに座る。

 それから、自分の子宮のあたりの腹部をそっと撫でた。

「このままだと、わたしはどうなるんですか?」

「子宮にまで取り憑く悪霊は、一筋縄ではいきません。このままだと、あなたはいずれ悪霊の子を身ごもるかもしれません。時間をかけて浄化していく必要があります」

「浄化?」

 アシャンの問いに、ダリルは力強く頷く。

「幾度も回数を重ねて、子宮に巣食っている悪霊を浄化せねばなりません。ずっと悪霊が憑いたままだと、ほかの悪霊も引き寄せてしまいます……今、あなたの肩に現れているそれのように」

「そんな……今までこんなこと、なかったのに……」

「ここは聖地と言っても過言ではありません。浄化の力が強いこの地では、巧みに隠れていた悪霊も、そうはいかなくなったのでしょう」

「そんな……」

 アシャンは絶望する。例え一ヶ月牢で過ごして出られても、このまま実家に帰れば自分は悪霊が取り憑いたままなのだ。

(悪霊が憑いてるなんて、みんなには言えない……このまま帰ったらきっと悪いことが起きてしまう――わたしはただ家族みんなと穏やかに暮らしたいだけなのに)

 自然と頭が下を向き、目の端にじわりと涙がにじむ。

「そう落ち込まないでください。このことは私しか気づいてませんし、誰にも言ってませんから」
「……そう、ですか」

 アシャンの紫の瞳から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。

(お金欲しさに聖女になろうなんて嘘をついたから、これはきっとその報いなんだ……)

 静かに涙を流すアシャンの額に、ふわりと温かな手のひらが触れた。

 ダリルの手だ。

 一瞬、首都に向かう途中で貧しい一家に施しをしていたときのダリルの姿が頭に浮かんで消えた。

「大丈夫ですよ。私が浄化してあげますから」

 包み込むような穏やかな声で告げられると、アシャンはダリルに縋りつきたくなった。

 初めて訪れた土地で、頼れる者はいないのだ。

 このときアシャンがダリルの顔を見ていれば、後光が差して見えたに違いない。

「さて、浄化するのはよいのですが、そのまえにデリケートな質問をさせてもらいます」
「……」

 涙を拭いアシャンは顔を上げた。デリケートな質問とは一体なんだろう。

「あなた、性体験はおありですか?」
「え……っ、なっ、なにを……」

 綺麗な微笑みを浮かべたダリルから、いきなり思ってもみないことを聞かれ、アシャンは酷く動揺した。

「浄化に深く関わる部分ですので、答えていただけるとありがたいのですが」
「……う……えっと……りません……ありません……」

 アシャンはなぜ神殿までやってきて、こんなことを言う羽目になるのだろうと、羞恥で頬を朱に染めた。

 恥ずかしくて恥ずかしくて堪らず、蚊の鳴くような声で答えた。

「そうですか、あなたは処女なんですね」
「……だ、だったらなんだって言うんですかっ」

 恥ずかしくて思わず語尾が荒くなるアシャン。

「実は、私が行う浄化には快感が伴うのです。ですから、経験があるのか確認しておきたかったんです。慣れていただかなくてはなりませんから」

「え? どういう、ことですか?」

「あなたの悪霊は子宮に巣食っていると言いました。それを浄化するには、私の体液を注ぎこむ必要があります」

 にこやかに告げるダリルの言葉に、アシャンは固まってしまった。

 体液を注ぎ込む必要がある、ということは、つまり――。

「……あ、あなたとエッチしなきゃならいってことーっ!?」
「平たく言えばそうです」

 アシャンの問いに、相変わらずダリルは微笑んでみせた。

「なっ、そ、そんなことできるわけないじゃない! 頭おかしいんじゃないの? 大体、あなた神に仕える身でありながら、よくもそんな……っ――!」

 興奮しすぎたせいか、後に続く言葉が出てこないアシャンだ。

 感情だけが先走り、顔が赤くなったり青くなったりしている。

「はい、神の忠実な僕たる私の肉体には浄化の力が宿っています。私とひとつになることで、あなたの体が浄化され悪霊を祓うことができます。だらかといって強要はいたしません。決めるのは、あなたです」

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嘘つき聖女~
~桜猫*日和~