★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

01*王子とメイド2

表紙:各話

「は?」

 王子ラウルの手がメイドの胸に届くことはなかった。

 彼女が自分で振り払ったからである。

「汚らわしい手でわたくしに触れないでいただけますか」
「この……っ」

 王子である自分に対し、こんな無礼な態度を取るとは! と、ラウルは一気に怒りが込み上げ再度胸に手を伸ばす。

 すると、いとも自然な流れで彼女の手が自分の手を取り、ふわりと体が反転する。

 一瞬なにが起きたのかわからなかった。

 視界を天井がぐるりと回り、気づけば背中は硬い床に落ちていた。

 こんな、自分よりか弱そうな女性に投げ飛ばされたのだと理解するのに数秒を要した。

「やれやれ、困ったものです。しつけのなっていない猿ですか。年中発情期のボンクラ王子様?」

「メイド風情がこんなことをしてただで済むと思うなよ?」

「あらまあ、素敵な捨て台詞ですこと。あなたの意思などどうでも良いのです。わたくしはわたくしの業務を遂行するだけですので」

「くっ、父上に言……ぅあっ、なにを」

 ラウルの顔が一瞬苦痛に歪む。

「殿下、成人男性が親の威を借るなどみっともないと思いませんか?」

 メイドは己で踏みつけた王子の股間をぐりぐりと微妙な力加減で撫でるように踏んだ。

 その口元は少しばかり釣り上がっている。

 しかもそれが妙な色香を孕む。

 先に手を出したのは自分だというのに、返り討ちに合い、まるで自分が被害者の気分だとラウルは思った。

「あぁっ、や、やめろっ」
「やめろ? 人にお願いするときはどうするかご存じないのですか?」

 メイドは少し強めに王子自身を踏んでくる。

「ああぁ……やめっ、やめてくれ」
「やめてくれ? はて、聞き間違いでしょうか?」

 更にメイドは強く踏み込んだ。

「痛い、痛いっ!」
「殿下、言葉というものは正しく使ってこそ意味があるものなのです」
「うぁ、あ……お願いだ、足をどけてくれ……どけてください」

 ラウルの顔は苦痛と屈辱に歪んでいる。

「そう、出来るではありませんか。言葉が通じるようで安心しました、ラウル殿下」

 メイドはすっと足を引くと、歌うように言葉を紡ぎくすりと微笑んだ。

「くそっ、この貧乳メイドが……!」

 股間を押さえながらラウルは身を起こす。

 そんな情けない王子を見つめながら、はたと彼女は思い至る。

「ああ、自己紹介がまだでした。わたくしはジェシカ。ジェシカ・オールドワークスと申します。以後お見知りおきを」

 ――それがメイドことジェシカとラウルの初めての出会いだった。

 

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王子は巨乳好き~
~桜猫*日和~