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王都へ3

魔導王:各話表紙 贄の魔導王は~

(朝の空気を吸おう)

 ベッドから立ち上がり窓辺に行くと、そっと窓を上にあげる。

 朝の少し冷たい空気が部屋に流れ込んできて、頭がしゃきっとした。

「よし! 頑張って王都までいくぞ!」

 身支度を済ませるとノエリアはルールーのいる騎獣用の小屋へ足を運ぶ。

 小屋の中を見るとルールーもすでに起きていた。ノエリアが来たとわかると、長い尻尾を左右に揺らす。

「おはよう、ルールー。今日は一日よろしくね!」

 小型の竜であるルールーを小屋から出してから、宿の手続きを済ませ、ノエリアは次の目的地を目指す。

「キュルルル、ピューイ」

 鳴きながらルールーは背中に乗れと目配せしてきた。さすが人に慣れた騎獣だ。

「さっそく乗せてくれるの? ありがとう」

 ノエリアは厚意を無駄にしてはいけないと、そっとルールーの背中に横向きに座った。

「ピュイッ」

 多分言葉のニュアンスから「いくよっ」とでも言ったつもりなのだろう。ノエリアが首に手を回してつかまると、一気に走り出した。

「うそ、全然反動が来ない」

 速度は馬と同じくらい出ている。だがほとんど振動を感じない。

 確かに乗り物屋の店主の言葉通り、とても乗り心地が良い。

(初めて乗ったけど、騎獣ってすごいのねぇ。これならルネおばあちゃんも連れて遠出が楽に出来そうね)

 

 ルールーのお陰で、王都までは二日で着いた。

 途中橋が壊れて、迂回しなくてはと思っていたら、ルールーの背中から透明に近い翼が生えて飛んだのだ。

 なるほど、店主が特筆すべきと言っていたのが納得いった。

 しかも驚くべきことに、騎獣は自分が行き来した道をきちんと覚えているのだ。

 返すときどうするのだろうというノエリアの不安は不要のものだった。

 王都は国の中心だけあってさすがに広い。

 ノエリアのいた田舎の村など比較にもならない。

 しかし彼女がこの広い王都をどう歩こうかと、悩む必要はまったくなかった。

 なぜなら――。

「そこ、列に割り込まない! 皆さん順番に並んでくださーい!」

 ノエリアの先駆者たちが、たくさん王都の入り口に並んでいたからだ。

「陛下の花嫁候補の方々はこちらにお並びください!」

 門番たちがあたふたと走り回る。

「あらまあ……こんなにたくさん押しかけてきたら大変ね」

 ノエリアはリュックを背負いなおすと、列の最後尾に並ぶ。

 そして、目の前に並ぶ花嫁候補たちをまじまじと眺めてみる。

(みんな綺麗にお化粧をして、素敵な衣装に身を包んでとっても綺麗。それに比べてわたしは……家事してそのままの服で村を飛び出しちゃったから、外套の下はめっちゃ普段着なのよね。恥ずかしいわ)

 ノエリアは恥ずかしさに頬を赤くした。十分程待っていると、整理券を手渡される。

「四千九百四十九番……シクシク、なんか縁起が悪い数字ね」

 整理券の数字に僅かに気落ちしながらも、少しずつ少しずつ列は前に進んでいく。

 王都の中に入ってしばらく経つと、対面に行き違う女性たちががっくりと肩を落として歩いている。

「やっぱりそう簡単に玉の輿にはのれないわね」
「ええ。この日のために飛びっきり上等のドレスを着てきたのに……」
「妾でも良いからなりたいわ。陛下の美しさといったら……」

 すれ違う女性たちは、みな口々にこのようなことを言いながら過ぎ去っていく。

 城へ続く道には、ある程度の間隔を置いて騎士たちが配属されている。

 確かに若い娘が多いのでなにか事件が起きたら大変だろう。

 しかし、よく観察してみると、騎士と寄り添い熱い視線を交し合う者たちもいる。

 花嫁候補にきたが、王ではなく騎士と恋に落ちたのだろう。

(まあ、騎士の旦那さまっていうのも良いかもしれないわね。どうせわたしみたいな田舎娘なんて、一瞥された後ポイだろうし)

「それにしても本当に残念だわ。間近で拝見した陛下の美しさときたら……はあ、悔やんでも悔やみきれない」

 通りすがりの女性が残念そうに呟き、通り過ぎた。

「ふうん、そんなに王様って綺麗な人なんだ」
「あら、あなた陛下のご尊顔を拝見したことがないの?」

 

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~