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王都へ2

魔導王:各話表紙 贄の魔導王は~

「凄く詳しいんですね、その、騎獣というものに」
「そりゃあ当然だ。俺がここの店主だからな」

「あ、それで! なんでここまで親切にしてくださるのかと思ってました。わざわざ同行なんて、普通の人はしませんし」

「まあ、こうして出会ったのもなにかの縁だろうからな。で、どれにするか決まったかな?」
「ええ。わたしはこの小型の竜みたいな子がいいです。おいくらですか?」
「ルールーを選んだか。銀貨一枚だな」 
「はい、じゃあ銀貨一枚」

 素直に財布から出して渡すと、道中の餌だと大きな袋を持たされた。

「お嬢ちゃんは素直ないい子だな。普通は値切るもんだが、値切らなかった分餌をサービスしといた。そいつは言葉も理解できるから、行き先を伝えるだけで良い」

「まあ、ありがとうございます。大切に乗らせていただきます」

 キュルルルルル、とルールーと呼ばれた竜の騎獣は不思議な鳴き声をあげた。

 

 宿につれて帰ると、部屋には入れられないので騎獣用の小屋に入れるように言われた。

「ルールー、狭いとこに入れてしまってごめんね。明日の朝この村を出発するからそれまで我慢ね?」

 キューイ、とルールーは返事をした。恐らく了解したということなのだろう。

 そのあとノエリアは細々とした用事を済ませ、夜になるとベッドに潜り込んだ。

 長距離を歩いたからか、すぐに眠りに落ちる。

 

 そして、彼女は<夢>を見る。

 

 暗闇の中に、ぼうっとやさしい光が浮かんでいる。

 やさしいけれど、どこか少し寂しいようにも感じる銀色の光だ。

 それは近づくごとに人の形に近づいていく。

 ノエリアはどうしようもなく、光が気になり足早に歩みを進める。

 しかし、それを邪魔するように、灰のような真っ黒な粒がノエリアの体にまとわりつき、うまく歩けない。

 歩けないどころではない。

 一歩歩くごとに、加算式で体が重くなっていくのだ。

 この世の全ての憎しみを固めて凝縮したようなものが、体を押さえつけているような気がした。

 まとわりつく真っ黒な粒を叩き落そうとして、幾らか飲み込んでしまった。

 するとたちまち肌の色が真っ黒に変化していく。

「やだ、なにこれ。怖い……」

 怯えている間にもどんどんノエリアの白い肌は黒に侵食されていく。

 そして全てが黒で覆われたとき、ノエリアは一匹の魔物に変化していた。

 口からは牙が生え、手足の爪は鋭く尖り、体は硬い毛で覆われている。

(やだ! いやだこんなの! わたしじゃないっ!)

 ノエリアの今は魔物と化して真っ赤になった瞳から、ぽろぽろと涙が溢れる。

 泣きじゃくっていると、すう、と銀色が目の前に現れた。

 顔をあげると、目の前に銀色をまとう青年が佇んでいる。

 ノエリアが歩み寄って確かめようとしていた光だ。

 光であったものは今完璧に人の姿をとっている。

 顔の上半分は靄がかかっているようではっきり見えない。

 だが、顔の下半分だけ見ても、彼が恐ろしく整った顔の持ち主であることは容易に推測できた。

 その美しい青年は、口を動かしてなにか伝えてくる。

 耳を澄ましてみるが、うまく聞き取ることが出来ない。

 それでも諦めずに聞き続けていると、徐々に聞き取れるようになってきた。

 その声はとても落ち着いていて穏やかだ。

 

 ――**て*る、*を**ている――

 

 徐々にその声は鮮明になってくる。

 

 ――待っている。だか*早く……。

 

(どうしてだろう、この声を聞くと胸がぎゅっと締め付けられるのは。耳に心地よい素敵な声なのに――早く行かなきゃ行けない気持ちになる)

 

 ――私のそばに――。

 

 言葉と共に青年の指先がノエリアに触れると、一瞬にして皮がはがれるようにパラパラと黒が抜け落ち、彼女は元の姿に戻った。

「――っ」

 あまりにも胸が苦しくて、切なくて、それでノエリアは目覚める。

 窓からうっすらと光が見える。どうやら朝らしい。

 朝といっても日が昇り始めたばかりの、明け方が少し過ぎた頃だ。

「涙が……」

 目の端に残っていた。それを指で拭うと、ノエリアはゆっくりと体を起こす。

(とても綺麗な男の人だった。待っているって、どこで?)

「……気にしすぎだわ。ただの夢なのに」

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~