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王都へ

魔導王:各話表紙 贄の魔導王は~

「あまり村の外って出たことないのよね……」

 うーん、と唸りながらノエリアはリュックの中から地図を取り出す。

 地図にはポイントごとにメモ書きでアドバイスが添えてあった。

(わたしのために、ここまでしてくれてたんだ……)

 少々強引な出発だったが、真心は伝わってくる。

 手書きの文字はどれもこれも温かさがにじみ出ている。

(ここまで全力で応援されたら、一矢報いないとね! って、王様は敵でもなんでもないけど)

「もう少し歩いたら次の村か。へえ、ここから乗り物を借りていくと速いんだ~」

 そうして半刻ほど歩くと村の入り口が見えてきた。

 案内板の横を通り過ぎ、道なりに進んでいくと小さな宿屋を見つけた。

 どうせ急ぐ必要もないのだ。

 ノエリアは宿をとることにした。

 受付で手続きを済ませ、部屋に荷物を置くと早速外へ出る。

 地図に書いてあった乗り物屋に行くためだ。

「あ、さっきの受付の人に乗り物屋さんのこと聞いとけば良かった」

(この村もわたしのいた村と同じくらいの規模ね。こっちのほうが気持ち大きいかな。うちの村、宿屋すらないし……もっと遠くから花嫁候補のために村をでてくる女の子かわいそう。いたらだけど)

「きゃっ」

 考え事をしながら歩いていたせいで、なにかにぶつかった。

 目を開けて確認すると、坊主頭のえらい筋肉質でがっしりした男が仁王立ちしている。

 まだ春先だというのに、白い半袖のシャツを着ていて盛り上がった胸筋が服を破りそうだ。

 下は普通のズボンを穿いている。

(うわ、どうしよう。これやばいパターンじゃない? とても太刀打ちできそうにないわ、に、逃げなきゃ!)

 ノエリアが真っ青になりおろおろしていると、

「お嬢ちゃん、大丈夫かい」

 意外なことにその男はノエリアを気遣ってくる。

 いかつい体格にあった野太く低い声だ。

「あっ、はい、平気です」
「それは良かった。だけどきちんと前見て歩かないとな?」
「はい、すみません!」

 ノエリアはぺこぺこと頭を下げた。

「で? どうして俺にぶつかったのか聞いても良いかな?」
「はい、実は……」

 と、ノエリアは村を出るまでのいきさつを、坊主頭の筋肉男に教えてやった。

「なるほど、王都を目指しているのか。今時の若い女の子は行動力あるんだな」

「……わたしの説明ちゃんと聞いてました?」
(行動力もなにも、半ば強引に王都に向かうよう仕向けられたんですけど……)

「乗り物屋ならよく知ってるぜ」
「ほんとですか! 教えていただけると、とっても助かります」

 ノエリアは胸の前で祈りのときのように手を組むと、救世主が現れたとばかりに顔を綻ばせる。

「わかった。ついてくるといい」
「はいっ」

 上機嫌で男の後ろについて歩いていくと、乗り物屋と書いた看板のぶら下がった店に着いた。彼に続いてノエリアも店に入る。

「おや?」

 店に入ったと思ったら、そのまま扉を開けて奥に進む。

 その先には、たくさんの動物たちがいる。

「わあ、すごい! こんな大きな動物初めて見ます」

 牛や豚などの家畜以外で、こんな大きな生き物をノエリアは見たことがなかった。

「全部、騎獣だよ。速さを重視するならこいつ、このスマートな体から生み出されるスピードは乗ってみないとわからない」

 男はチーターに似た獣をよしよしと撫でる。

 こういった大型の移動手段である獣たちはまとめて騎獣と呼ばれている。

「持久力を重視するなら、こっちだな。ラディルより速度は落ちるが、長時間移動することができる」

 黒い毛並みの胴長の獣を今度は撫でる。

 とても大きな胴長の犬といった感じだ。頭に角が生えている。

「で、乗り心地を優先するなら断然こいつ。鱗が綺麗だろう? こいつは前の二つの中間って感じだ。だが特筆すべきは空を飛ぶことが出来る」

「どの子もみんな可愛い……迷っちゃう」

「ははは、お嬢ちゃんは機能性より可愛さ重視か。こりゃ一本取られたな」

 男はとても楽しそうに笑って、空を飛ぶといった獣を撫で回す。

 人一人が乗れるくらいの大きさの竜といった外見だ。

 

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~