★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

王の役割

魔導王:各話表紙

「ふあぁ……」

 翌朝ノエリアはベッドの中で目を覚ます。

(あーよく寝た……こんなにふかふかなベッドで寝たのって初めて。お陰で物凄く熟睡しちゃったわ。今日からお試し期間がはじまるのね)

 ノエリアは眠たい目を擦りながら、ベッドから起き上がる。

 そして室内に備え付けの洗面所で顔を洗い、髪を梳かす。

 それが終わるとクローゼットの前に移動する。

(王様はここにある服を自由に使ってくれっていってたけど……)

 そっとクローゼットを開くと、中にはぎっしりと色とりどりのドレスが用意されている。

「まあ……こんなに。どれも凄くきれいな色とデザインだわ……」

 ノエリアは夢見心地になりながら、目の前のドレスを一着ずつ手にとり眺める。

 自分のこれまでの普段着とは天地の差だ。

 少し迷ったが、淡いローズピンクのドレスにした。

 甘すぎない程度に各所にレースがあしらわれ、袖口の広いお姫さまのようなドレスだ。

「……馬子にも衣装ってこのことね。わたしでもちょっとしたお嬢様っぽく見えるわ」

 鏡の前で様々な角度から全身を確認する。

(うん、これなら昨日と違って王様に会うのに、十分相応しい身形だわ)

 嬉しくてドレスを摘んでくるりと一回転したとき、扉を叩く音がした。

「ノエリア、起きてる?」
(この声は王様だ。わざわざわたしを起こしに来てくれたの?)

「はい、起きてます。ディースさま。どうぞお入りください」

 すぐに扉が開き、美しい王が姿を現す。

「おはよう、ノエリア」
「おはようございます、ディースさま。お早いんですね」

 ノエリアがそう返すと、ディースファルトは少しはにかみながらこう口にする。

「一分一秒でも無駄にしたくないんだ。少しでも君と長く過ごして、傍にいたい……私の時間は限られているから」

「ディースさま……」

 ノエリアの胸が甘く疼いた。

(そこまでしてわたしと一緒にいたいの? この人のそばにいて、少しでも役に立ちたい――)

「一緒に朝食でもどうかな?」
「はい、よろこんで!」

 笑顔で返事をすると、「お手をどうぞ」と差し出され、胸がときめいた。

「そのドレスとてもよく似合っているね。どこの国のお姫さまかと思ったよ」
「そっ、そんな、お姫さまだなんて!」
(わたしなんかが恐れ多いわ)

「おや、私の言葉が信じられないのかな?」

 ディースファルトはくすりと笑う。

「う……」

 微笑まれると、ノエリアはもうなにも言えなくなってしまう。

(わたしが本気にしたらどうするのよ……でもお姫さまと言われるのは正直嬉しい)

 なぜならノエリアにとって、とても縁遠い言葉だったから。

 自分などより断然見目麗しい王に言われて、悪い気がするはずもなかった。

 ディースファルトのエスコートで連れて行かれた先は、日当たりの良いベランダだった。

 半円型に突き出していて、真ん中に白いレースのテーブルクロスが敷かれた丸テーブルと椅子のセットが置いてある。

 周りは木で囲まれ、高い木のてっぺんが見下ろせる高さだ。

 ここから王都が一望できる。

 視界を遮る高い建物もなく、どこまでも広がる青空と大地が開放感を与えてくれる。

 途中にある名も知らぬ村や町がおもちゃの模型のように小さく見える。

「わあ! すごく綺麗! 素敵な眺めですね」

 ノエリアは感動のあまり、ディースファルトの手を振り切って、ベランダの手摺まで走っていく。

 そのとき、ノエリアの深紅の髪を巻き上げるように風が吹いた。

「うーん、風が気持ちいいー! 最高!」
「君は本当に元気だね」

 後ろでディースファルトがくすくすと笑う。彼の一言で、はっとノエリアは我に返る。

「す、すみません勝手に……」
(走り出したりして。ああ、やっちゃった~! だってあんまり綺麗な景色だったから)

「いや、素直に感じられるのは素敵なことだよ。この国を守ってきてよかったと思える」
「とても素敵な国だと思います」

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~