★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

ノエリア5

魔導王:各話表紙

「おお、ノエリア。そう嘆かないでおくれ。みんなお前さんのことを心配しているだけなんだよ。もうこの村に独身の若い女性はおろか、結婚していないものは他にいない。相手を探そうにもとなり村まで行かないと見つからない状況だ」

「……心配してくれるのは、わかってる。だけど、面白がってる連中もいるんですけど。その筆頭が――村長ですけど?」

「じゃって、となり村の若者漁ってもつまらんじゃろ~? せっかく王様が花嫁募集しとるんだから、こっちにしておけ」

「……やっぱり面白がってるじゃないの」
(まったく。悪気がないのはわかってるけどね)

「じゃが、赤子の頃から見守ってきたお前さんには、どんな形であれ幸せになって欲しいとねがっとるよ」

「わたしは今でも十分幸せよ、村長」

 ノエリアはふわりと微笑む。

「だがノエリア、王の花嫁候補、悪い話ではないじゃろう? 参加資格は健康であること。その一点のみじゃ」

「まったくもう……みんなして王様推しなんだから。でも、そうね、どうせ独身だし、一度くらい村から出てみたいし花嫁に立候補してみるのも悪くないかも?」

 えへへ、と照れ隠しに笑ったそのときだった。

「皆のものー! しかと聞いたな!?」
「聞いた聞いた、バッチリ聞いたーっ!」
「あたしも聞いたよー村長♪」

 村長の問いかけに答えながら、部屋の奥からわらわらと村人たちが出てくる。

(えっ、なに!? なにごとですかっ!?)

 予想外の状況に、思わず固まってしまうノエリアである。

「ノエリアちゃーん、準備はしておいたから」
「悔いが残らないよう」
「しっかり王様射止めておいで!!」

 そう言いながら、他の村娘(全員既婚者)たちに外套を羽織らされ、背中にリュックを背負わされる。

「それでは、ノエリアちゃんの前途を祝して、ばんざーい!」
「ばんざーい!」
「ばんざーい!」
「え、ちょっとまって、ナニコレ……」
「路銀もちゃんと皆で出し合ったから、足りると思うよ。頑張ってね、ノエリア♪」

 戸惑うノエリアをよそに、村人たちはそれはもう大盛り上がりである。村の女たちがエール酒を振舞い、まだ朝のうちだというのに宴会が始まってしまった。

「さあ、みんなでノエリアを送り出すんじゃ!」
「ノエリア、行って来い!」
「ノエリア、頑張って! 王様の心をがっつりもぎ取ってね!」
「「「いってらっしゃーい!」」」

 村人たちの陽気な声に送り出されるノエリア。もう断れる雰囲気ではない。たらたらと冷や汗を流しつつ……ノエリアは、腹をくくった。

(ええい! もう、どうとでもなれ!!)
「い、行ってきます!」

 そうして、半ば強制的にノエリアは村を出ることとなった。

 目指すは王都だ。

 

 村を出て歩くこと数刻。勢いで出てきてしまったものの、ふと我に返り、ノエリアは途方にくれる。

「王都まで本当に行くの? 徒歩で?」
(無事にたどり着けるんだろうか、わたし)

 期待と不安がごちゃまぜになった気持ちで、ノエリアは躊躇いながらも歩き始めた。

 

 ――――運命の輪が、動き出した瞬間だった。

 

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~