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ノエリア3

魔導王:各話表紙 贄の魔導王は~

「ごちそうさま。今日も美味しい朝食をありがとう」

 食べ終わるとそう言って、ルネはノエリアの手を包み込むように握った。

「どういたしまして。また明日も作ってくるね」

 笑顔でそう答えると、ルネはこくりと頷く。

「そういえば今朝、手紙屋さんが来てこんなものを置いていったのだけど、ノエリアは興味あるかしら?」

「んー? なになに……」

 ルネに差し出された手紙を見ると次のように書いてある。

 

<偉大なる魔導王ディースファルト陛下の花嫁候補者大募集!>

 

「え……ナニコレ」

 一瞬固まってしまうノエリアである。

「現国王陛下がお妃候補を募ってるみたいねえ。あのお方は王に即位してから約五百年、ただの一度も妻を娶ったことがないと言われているわ。急にどういった風の吹き回しかしらねえ……でも、これはある意味チャンスじゃないかしら、ノエリア?」

 無邪気な子供のような笑みを浮かべ、ルネは楽しそうにノエリアを見つめる。

「ま、まさか、わたしに……」

「うふふ、察しが良いわね。そうよ、あなたもまだ独身なのだから立候補してみたらどうかしら?」

「いやいや~いくら結婚相手が居ないからって、さすがに王様は……むしろ向こうが嫌がるだろうし」

 自分で言いながら少し虚しくなるノエリアだ。

 この世に生を受けて二十四年。片思いはしたことはあれど、今日の今日まで恋人という存在は出来なかった。

 実際に見たことはないが、国王はそれはそれは美しい男性だと聞いている。

 そんな相手に片田舎の村娘が嫁に立候補するなど片腹痛いではないか。

 そんなノエリアの心を見透かしたように、ルネが僅かに挑戦的に告げる。

「あら、ノエリアはやってみる前から諦めてしまうの?」
「ルネおばあちゃん! どうしてわたしが応募するみたいな流れになってるのっ」
「それじゃあ、今、誰か良いお相手がいるのかしら?」
「ぐ……い、いないけど……」

「だったら良いじゃない。応募して結果が出てから決めたって。孫の顔が見たいわ、ノエリア」

 ルネは期待の眼差しをノエリアに向けた。

「うー……か、考えてはおくよ。じゃあ、わたしそろそろ行くね」

 とてもいたたまれなくなり、逃げるようにノエリアは外に出る。

 その様子をルネはくすくす笑いながら眺めていた。

 

 草で覆われた道を足早に歩きつつ、ちらっとお妃様もいいかもしれないと考えてしまった自分が恥ずかしいと思うノエリアである。

「早く帰ってわたしもパンケーキたべよっと」

 自宅に戻ると回覧板が扉の前に立てかけてあった。

 それをひょいと拾うと、ノエリアは扉を開け部屋の中に入る。

 小脇に回覧板を挟んだままキッチンへ行き、パンケーキをのせた皿を食卓に運び、回覧板を椅子に置いた。

 そして汲み置きの水をコップに注ぎパンケーキの隣に置く。

「やっと食べられる。いただきまーっす!」

 ふわふわパンケーキを口いっぱいに頬張る。

 少し冷めているが、十分美味しい。蜂蜜と相性抜群の味だ。

「あぁ、しあわせ……」

 パンケーキの美味しさに浸ったあと、ふと、隣の椅子においた回覧板が目に入る。

(ま、真新しいことは書いてないだろうけど、一応目を通しておきますか)

 最後のひと口を口に入れ、もぐもぐと食べながら回覧板を手に取り開く。

「ぶっ」

 次の瞬間、ノエリアは飲みかけの水を吹き出した。

 そこには、先程ルネの家で見た王の花嫁候補の告知が記されていた。それだけならいい。

 ノエリアの家は村の一番はずれにあるので、回覧板が回ってくるのは最後になる。

 彼女の一軒先の家の分まで閲覧済みのチェックが名前の下についている。

 そして回覧板が回ってくる間に、花嫁候補募集の紙は、ノエリアへの応援メッセージで埋まっていた。

 しかもチェック用の赤い鉛筆で書かれているので恐ろしく目立つ。

『ノエリアちゃん、これ応募しなさいね!』
『王様と結婚したら金持ちだぞー!』
『婚期を逃すな、ノエリア!』

 といった具合に、村人からすき放題書かれている。

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贄の魔導王は~
~桜猫*日和~