★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

自称婚約者の再来5

各話:表紙

「品のない行いなどするものか。自分より弱い下等生物を襲ってなんになるというのだ」
「うん、アンタならそう言うだろうなと思ってた」

 この数ヶ月共に暮らしてきた仲だ。

 全てとは行かなくても、二人はお互いに相手の性格を把握している。

 ふとミゲルの顔から笑みが消え、慈しむような眼差しをマリアに向ける。

「危ないところだったな……無事でよかった」

 濡れた体は冷え切っていて、雨からかばうようにミゲルはマリアを強く抱き寄せた。

「そうだな、ミゲルが来なかったら胸を貫かれていたな」

 抱きしめられたミゲルの腕の中はとても安心できて、なぜか嬉しくて、マリアは彼の背中に両手を回して擦り寄った。

(こいつは神父で、敵対する相手で、私の処女を奪った酷い男だ。それなのに、この温もりが、香りが、感触がとてつもなく心地良い……)

「帰ったら一発やろーぜ」

(ん……? なにか場違いな言葉を聞いた気がする)

「いや、なんで?」

 マリアが少し顔を引きつらせながら問いかければ、

「冷えた体を温めるにはもってこいだろ」

 と彼はのたまったのだ。

「そこは普通熱い風呂にでも浸かって体を温めろというところじゃないのか」
「じゃあ風呂でやるか」
「だからなんでやること前提なんだっ」
「だってアンタが抱き返してくるもんだから、こうムラムラっとだな……」
「き、昨日もしただろう! それに十分間に合ってるし、明後日くらいまではしなくても」

 大体一度の性行為で三日から四日ほど保つのだ。

 あくまでも生命維持のための行為ということで、二人はそのペースを保ってきた。 

(そ、そりゃあミゲルとするのは気持ち良いし、やぶさかではないが……)

「オレは毎日しても良いんだけどなぁ。とりあえず帰ろうぜ。ほら、おぶされよ」

 そう言ってミゲルはマリアに背を向ける。

「なんでおんぶなんだ?」
「ヒール折れてるし歩きにくいだろ。ほら、早くしろ」
「わ、わかった」

 なんだ、良いところあるじゃないかと思いつつマリアは彼の背におぶさった。

 するとマリアをおんぶして少し歩いた頃、ミゲルは、はあ、と溜息をついた。

「アンタほんと乳でけーよな……それがオレの背中に当たってさ、もうこれって性的暴力じゃねえ? 我慢にも限界があるっつーか、はぁ、やりてぇ……」

「貴様という奴は。神父なら性欲くらい制御したらどうなんだ」

 ミゲルの言葉にうっかり傘を落としてしまいそうになり、慌てて握り締める。

「制御なら毎日してる。毎日でも抱きたいのを三日に一回程度で我慢してる」
「そんなに性欲が余っているのなら、娼舘にでも行けば良いではないか」

 とマリアが言えば、

「アンタの性格的に生命維持のためとはいえ、他の女を抱いた男に抱かれるのは嫌だろ?」
「あ……それもそうだな」

 思わず納得してしまうマリアだ。

「それに、前にも言ったけどアンタはオレ好みだし、他の女には今のところ興味ないって言うか、アンタしか抱く気にならないっていうか。もしかしてオレになんか発動してる?」

 相変わらず弱まることのない雨の中を、街灯の灯りを頼りに歩き続けるミゲル。

 月も見えない今夜は視界が悪い。

 だが、ミゲルの足取りは確かなものだ。

「そんなことするわけないだろう」
「だよな、知ってた。お、うちが見えてきたぜ」

 歩くこと数分、二人は無事家に到着した。

 

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~