★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

マリアの王子様3

各話:表紙

「……そうか」

 とだけミゲルは言った。

 ミゲルなりに色々と思うところがあるのだろう。

 それに空白の十数年もある。すぐ仲直りとはいくまい。

「余計なお世話かもしれない。でも真実を知ってほしかった……誤解でずっと実の父を憎んだままなんて、哀しすぎる」

「やっぱりマリアはやさしいな。正直複雑な気持ちだが、前向きに考えてみるのもいいかもしれないな……」

 本当はミゲルとて信じたくはなかったのだ。

 父が母をとても大切にして愛を育んでいたのは、子供である自分が一番身近で見て感じていたからだ。

 なにより母は毎日とても幸せそうに微笑んでいた。

 家を出てから、あそこに至るまで何かあったのだろうと考えなかったわけではなかった。

 しかし当時のミゲルには、父を悪者にして憎しみを糧に生きることしか頭に無かったのだ。

 神父になることを選んだのは、父への当てつけの意味もあったのだ。

 しかしミゲルのそんな子供じみた考えもわかった上で、メイザースは彼の成長を見守っていたのだ。

 少しだけ自己嫌悪に陥っているミゲルの髪に、そっとマリアの指先が触れる。

 それから、親が子供を撫でるように、やさしい手のひらがミゲルの頭を撫でていく。

 大人しく撫でられ続けるミゲルを見ていると、マリアの中で愛しさが込み上げてくる。

(もっと、ミゲルを大切にしたい。たくさん愛を注いでやりたい。――愛おしくて、たまらない)

「参ったな……。着いた早々悪いんだが、今すぐアンタを抱きたい」

 ミゲルがそうなるのも無理はない。

 惚れた女に溢れんばかりの愛情をたたえた瞳で、真正面から見つめられているのだ。

「私もだ、ミゲル……」

 少しはにかんでマリアは微笑む。

 頭を撫でていた手にミゲルの手のひらが重なったかと思うと、口元に引き寄せられ柔らかな手のひらに口づけられた。

 ただそれだけなのに、マリアの胸は甘く切なく締め付けられる。

 こんな痛みならずっと続いてもいいと思える。

 伏せられていたミゲルの瞼が開くと同時に、手のひらから唇が離れ、熱を孕んだ苔緑の瞳と視線が絡む。

 まるで情欲に火を点けられたように体の奥がかあっと熱くなる。

 どちらともなく距離を縮め、体が触れ合う。

 隣に来たマリアの腰にミゲルの逞しい腕が絡みつき、ぐっと引き寄せる。

 膝を引き寄せられそのままミゲルの上に跨るように促された。

 跨ったままミゲルの肩に手を置くと、背中に手を回され豊満な胸に顔を埋められる。

 ミゲルのやや癖のある髪からふわりと良い香りがして、少しうっとりとしながらマリアは彼の頭をそっと抱き込む。

「かわいい、な」

 思わずそう呟くとミゲルが小さく笑ったのがわかった。

「アンタには負けるけどな」

 言いながら彼の両手はマリアの腰から下の丸みを包み込むように撫で回している。

 じんわりとやさしく撫で回してくるものだから、じわじわと気持ちよくなってきて、マリアの口から湿った吐息がこぼれる。

「ミゲル……」

 官能を煽るような愛撫に、マリアは自然とミゲルに体を押し付けるように擦り寄る。

「でもいいのか? 血縁上はアンタとオレは叔母と甥に当たるわけだが」
「触れないようにしていたというのに」

 だけどもう、すでに答えは出ている。

「てことは、見ないふりしてオレと一緒に居ることを選んだわけだ」

「まあ、そうなるな。我々の間では近親婚も稀にあるし……神父以外に甥が加わったくらいでは、私の気持ちは変わらない」

 好きだと認めるまでは足元がおぼつかずフラフラとしていた気持ちも、今ではしっかりとマリアの心の真ん中に一つの太い芯となってどっしりと鎮座している。

「そうだな。オレも同じだ。でなきゃここまで付いてこない」

 胸の上に顔を乗せたまま自分を見上げ微笑むミゲルが、やはり可愛く思えてマリアはそっと彼の亜麻色の髪を撫でる。

 そのまま見つめていると、ミゲルがぺろりと唇を舐めてきた。

 まるで甘えているようだ。

「なあ、ベッドどこ? じっくり愛したいから寝室に行きたい」

 マリアを抱きしめたまま立ち上がるミゲル。

「寝室はあの左奥のドアの向こうだ」

 

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~