★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

追う者と追われる者7

各話:表紙

 ――と、これが二人の出会いだった。

「……今、思い出しても腹が立つ……!」

(しかし殺すわけにはいかない。なにかひと泡吹かせられないものか。いや、一番許しがたいのはサミュエルだ。よくもこんな悪趣味な契約魔法をかけてくれたな! お陰で神父なんぞに抱かれる羽目になった)

「……」

(意外だった……兄上意外で男を綺麗だとか色気があると思ったのは。しかも、あいつは神父だ。なぜ天敵なんかにこんな感情を抱かなくてはならないんだ。ほんと鼻につく生意気な男だ)

 その鼻につく生意気な男は、今、風呂で体を洗っている最中だ。

「契約魔法さえかかってなければ、すぐにでも消してやるのに。しかし長風呂だな……私も体を洗いたい」

 なんとなく撫でたお腹に視線を落とし、マリアは溜息をつく。

 ミゲルの体液はすべて指で拭い舐め尽くしたので残っていない。

(もっと味わいたかったな……精気だけは極上だ。今まで口にしたどの食べ物より美味しかった――あんな人間が存在するなんて思ってもみなかった。それとも、契約魔法のせいなのか?)

「ふう、すっきりした」

 マリアが色々考えていると、ミゲルが風呂から出てきた。

「おそ……っ」

 遅いと言いかけて、マリアは思わず息を呑む。

 風呂上がりのミゲルから、そこはかとない色気が漂っているからだ。

 あまりちゃんと水気をとってない髪から水が滴り、上気した肌の上を滑り落ちる。

 抱かれている最中は、快感に流されて気づかなかったが、ミゲルの体は骨格と筋肉のバランスが絶妙で、とても綺麗な筋肉の付き方をしている。

(なんて綺麗な首筋なんだ……あそこに噛み付いたらミゲルはどう反応するんだろう?)

 マリアの視線はそのまま鎖骨、胸、腹と移動していく。

 胸板も厚すぎず薄すぎず、腹筋は程よく割れていてウエスト回りはキュッと引き締まっている。

 マリアの視線はさらに下に移動する。

「きっ、貴様、下着くらい穿いたらどうなんだっ」

 そう、ミゲルは裸のままだった。

「なんで?」
「なんでじゃない! 目のやり場に困るだろうが」
「見たきゃ存分に見ていいぞ?」

 どうやらミゲルは、こういうことをあまり気にしないらしい。見られるのも平気なようだ。

「そういうことじゃないっ」
「ムラムラして困るか?」

 ミゲルはわざと意地悪い笑みを浮かべて言った。

「ふざけるなっ。誰がそんなものに欲情するか」

 そんなつもりはなかったのに、マリアは体が火照るのを感じた。

 そんな自分を諌めるように、マリアは自分の体をぎゅっと抱きしめる。

「してもいいのに。正直、アレじゃ出し足りないし、アンタは抱き心地良くて可愛かったし……多分、一目惚れだ」

「は……?」

(なにを言ってるんだ、こいつは。人間のこいつが吸血鬼の私に、一目惚れだと……?)

「あまりオレを見くびるなよ? 女なら誰でもいいわけじゃないし、初対面とはいえ、どうでもいい女に勃つわけ無いだろ?」

「え、あの、なにを言っているんだ?」

 ミゲルの言わんとすることが理解できず、マリアは困惑する。

「人を下等生物呼ばわりする割には、理解力がないな。つまり、アンタが好きだって言ってるんだよ。そうでもなきゃ憎たらしい吸血鬼を助けるようなマネするか」

「は……はあぁっ!? 貴様、気は確かか? 私と貴様は敵同士なんだぞ!」
「それがなにか?」
「こっ、殺し合う関係じゃないか」

「まあ、最悪の場合はそうだな。だがそれは人間同士でもありうることだ。吸血鬼同士もそうだろうが」 
「それは……そうだが」

(なんなんだ、こいつは……いや、待て。好意を示しておいて私を油断させて、殺す気なのかもしれない。慎重に見極めなければ)

 マリアが難しい顔をしていると、ミゲルがベッドサイドに腰を下ろす。

 無意識にマリアはミゲルからほんの少し距離を取った。

「ガードが堅いな。オレとしちゃ、もっとアンタと仲良くなりたいんだが、できれば睦み合いながらな」
「冗談じゃない。体を洗ってくる」

 ミゲルが顎に伸ばしてきた手を振り払い、マリアは素早くベッドを後にした。

「つれないな」

 背後からミゲルの声が聞こえたが、マリアは無視して風呂に入ったのだった。

 

‥……‥**◆**‥……‥

こうしてマリアはお持ち帰りされました(*´ω`*)

 

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~