★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

追う者と追われる者6

各話:表紙

 マリアの側にしゃがみこみミゲルが顔を覗き込む。

 楽しそうなミゲルに対しマリアは余裕がない。

 額には冷や汗が浮かび喉を押さえて唇を噛み締める。

 自然と視線がミゲルの首筋に向かってしまう。

(生まれてこの方、人の生き血を吸ったことはないが……あの首筋に歯を立てれば……)

 ごくりとマリアは生唾を飲み込む。自然と口が開き白い牙が覗く。

「そうがっつくなよ」

 言葉と共に唇を塞がれる。

 そして口の中にミゲルの唾液を流し込まれる。

 それを飲み下そうと動くマリアの白い喉がなんとも艶かしい。

「ん……」

(ああ、なんて……美味しいんだろう。こんな下等生物の、しかも神父なんかの精気なのに。いつも飲んでる赤の錠剤なんて比べ物にならないくらい、これは美味しくて満たされる。だけど足りない。これっぽちでは全然足りない――)

「もっと、よこせ……」

 渇きで吐息交じりの掠れた声でマリアが言った。

 その声も、潤んだ瞳も、熱い吐息も、なにより欲しくてたまらないという思いがダイレクトに伝わりミゲルを煽る。

「やべ、勃起しちまった」
「……」

 絶句するマリア。

「責任取ってもらわないとなぁ?」
「は?」

 ひょいとマリアを肩に担ぎ歩きはじめるミゲルである。

「とりあえずオレんち行こうぜ。そこで続きをしてやる」
「貴様の家で続きだと? ふざけるな。今すぐ血をよこせっ」

 マリアは下りようと身を捩る。

「ジタバタすんなよ。アンタに精気を分けてやるって言ってるんだ。生憎オレは血を流す趣味はないんでな。アンタらアストルティーアの一族は唾液や精液からも活力を得られる。そんなのこの業界じゃ皆知ってる」

「私をどうする気だ」
「抱く」

 即答だった。

「な、なにっ!? 貴様神父の分際で! 放せ! 今すぐ下ろせ!」

 釣り上げられた活きのいい魚のようにマリアは暴れた。振り回した腕が偶然ミゲルの顎に入った。

「いってぇな、この野郎。おとなしくしとけっての!」

 少し前にミゲルに小突かれた額に魔力を感じたかと思うと、体を押しつぶされるような圧力を感じる。

 強引に捻じ伏せられている感覚だ。

「な……なにを、した?」

「アンタがおとなしくしないから、<魔封縛りバインド>を発動させた。抱いてる最中に暴れられるのも嫌だからな」

 ニヤリとミゲルは笑みを浮かべる。そして担いだマリアの腰に添えていた手でそっと柔らかな輪郭を確かめるように、お尻を撫でた。

「なにをする、このゲス神父ッ!」
「はははっ、いいケツしてんなぁ~こりゃ抱きがいがありそうだ」

 言いながらもミゲルはマリアのお尻を撫で回すことをやめない。

「馬鹿! やめろ! 貴様もサミュエルと同じだ! 最低な奴め!」

「我々の業界ではご褒美です、な~んつってな。罵倒される趣味はないが、アンタに言われるのは悪い気はしない」

 そうして鼻歌まじりにミゲルは帰宅の途につくのであった。

 

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~