★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

ミゲルと教会5

各話:表紙

「要するにオレが保護してる吸血鬼の仕業じゃないかと、疑ってるってわけだ。ま、普通そうなるよな。こんな身近に吸血鬼が居るんだから」

 やれやれとミゲルは溜息をつく。

「彼女はやってない。神に誓って」

(なぜなら大体毎晩オレがそばに居るからな。確実に三日に一度は抱いてるし、血の代わりに精気は十分すぎるくらい与えてるし。……そういや、これからってときに邪魔が入ったんだよな。マリアどうしてるかな)

「ミゲル神父はそう言うが、本当に彼女がやっていないと言う証拠はあるんですか?」

 小太りの大司教が問い詰める。

「マリアはいい意味で気位が高いんだ。下等生物なんて手にかけるまでもないって言い切る女だぞ。無作為に人を襲うなんてありえない。じゃあ逆にアンタに尋ねるが、彼女がやったって言う確実な証拠はあるのか?」

「……っ。しかし、吸血鬼など一度箍が外れてしまえば、狂ったように血を吸い漁る化け物だろうッ」
「あ? マリアをそんな野蛮な連中と一緒にすんじゃねぇよ」

 ミゲルの目が一気に暗く冷めていく。

「どうだかな! ずいぶん入れ込んでいるように見えるが、そのマリアとか言う吸血鬼に色目でも使われているのではあるまいな?」

 小太りの大司教はここぞとばかりにミゲルの揚げ足を取ろうとする。

 ミゲルの立ち居振る舞いや、それに見合わぬ功績の多さが気に入らない彼は、なにかにつけてミゲルを不利な立場に追い込もうとする。

 だがその言葉にミゲルは静かにブチ切れた。

 気付いたときは大司教に銃を向けていた。

「罪を犯していない彼女を侮辱するなら、化け物どもを倒す前にアンタらに撃ち込んでやってもいいんだぜ?」

 恐ろしいほどに落ち着いた声だが、伝わってくる殺気は寒気を覚えるほどだ。

 一気にその場が凍りつく。まさに一触即発といった雰囲気だ。

「まあまあ、銃を収めてくれないかな。君たちもミゲル神父を挑発しないように。彼の腕は知っているだろう? 風穴開いたら風通しがいいどころじゃすまなくなるよ?」

 その場にそぐわない穏やか過ぎる笑みを湛え、教会の最高位である法王ミカエルがミゲルを嗜める。

 表情と裏腹に物騒なことを口にする法王に、ミゲル以外の一同は、ぎょっとする。

「ふん、一つくらい風穴開けてもいいんじゃねぇ?」
「ミゲル」

 ミカエルが笑顔で威圧する。

「わかってるよ」

 無愛想に言いながら、名残惜しそうに銀色の拳銃を指で弄びながらミゲルは腰のガンホルダーに銃をしまった。

「それで? どうやってオレが彼女を匿ってると知ったんだ?」

「ごめんね、秘密だから教えられないんだ。その代わりこの件は一旦私が預からせてもらうよ。保留という形でね」

 ミカエルの言葉にその場に居た全員が、再びぎょっとした。

「割りに合わねぇ。被害者のリストくらいくれよ。被害が増えてるってことは一人じゃないんだろ?」
「後で君の家に送っておくよ」
「わかった。あと見張りつけたら殺されても文句言うなよ」
「怖いことを言うねぇ。ああ、帰るのはいいけど、手紙を出さなくても会いに来てくれると嬉しいんだけどな」

 扉に向かって歩き始めたミゲルの後姿をそっと見守りながら、ミカエルは口にした。

 彼はミゲルを引き取ったときからずっと、惜しみない愛情を注いできたのだ。

「……気が向いたらな」

 静かに扉の閉まる音がして、ミゲルは部屋を出て行った。

 

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~