★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

吸血鬼退治4

各話:表紙

「そして下っ端の吸血鬼に人間を襲わせたのもね。そのお蔭でこうして君がまんまと引っかかった」
「サミュエル!」

(そんなことのために、無関係な人間を襲って命まで奪い、さらにミゲルに迷惑をかけたのか! なんて……なんて腹立たしい!)

 一発ぶん殴らなければ腹の虫がおさまらない。誇り高い吸血鬼の取る行為ではない。

 マリアはぐっと拳を握りしめる。爪が皮膚に食い込み血がにじむ。

「貴様は我がアストルティーアの誇りに傷をつけた……酷く、許しがたい」

 マリアが右手を振り払うと同時に、その爪が鋭い刃と化す。

「覚醒していない君が僕に勝てると思う?」
「勝ち負けの問題ではない!」

 一気に跳躍しサミュエルとの距離を詰めると、心臓目がけて剣と化した右手で一撃を見舞う。

 しかし、マリアの攻撃は空を切る。

「確かに君はアストルティーアの血を引く強力な魔力を持つ吸血鬼だ。だけどまだ経験が足りないね」
「う、ぐ……っ」

 あっさりと背後を取られ、喉を片手で締め上げられる。

 苦しむマリアを笑いながら見ていたサミュエルだったが、急にマリアを突き飛ばしそこから横に飛び去った。

 それと同時に銃声が上がる。

「ち、外したか」

 ミゲルがサミュエル目がけて引き金を引いていたのだ。

「忌々しい神父め」

 思わずマリアがゾッとするほどの殺気を込めた瞳で、サミュエルはミゲルを睨みつける。

「気が合うな。オレもアンタが嫌いだ」

 皮肉な笑みを浮かべ、続けざまにミゲルは二発、三発と銃を撃つ。

 しかし弾丸はサミュエルの肌を掠めただけで当たらない。

 加速して避けたからだ。

 そのままさらに速度を増したサミュエルは、ほとんど瞬間移動のようにミゲルの前に現れた。

 心臓目がけて繰り出されたサミュエルの左手は、そのままでも十分に彼の体を貫くだろう。

(駄目だ! あの速さでは、人間はついていけない!)

「ミゲル!」

 焦ったマリアは自分も加速し彼のもとに駆けつけた。

 だが、マリアはそこで驚きの光景を目にする。

「なん、だと……人間ごときが、僕の攻撃を受け止めた?」

 なんとサミュエルの手は銀色の重心で受け止められていたのだ。

「驚いてる暇はないぜ?」

 受け止めたのとは反対の手で、ミゲルが銃の引き金を引いた。

 ミゲルは念の為腕に小さめの銃を隠し持っていたのだ。

 至近距離から放たれた銀弾は、サミュエルの太腿を撃ち抜いた。

「なっ、なにぃ!?」

 サミュエルの口から苦痛に満ちた疑問の声が上がる。

 なぜただの人間が吸血鬼の速度に反応し、しかも負傷した手で銃を扱えるのだと、驚きを隠せないでいる。

 驚愕に目を見開くサミュエルに、ミゲルはもう一発銀弾を撃ち込んだ。

 今度は腹に。

「ギャアアアアアアアア!」

 優雅な外見からは似つかわしくない、醜く悲惨な悲鳴が上がる。

「今度はちゃんと体内で止まったな。直接食らう銀弾は美味いか?」

 マリアが初めて会ったあの日に見た暗く冷たい瞳で、地に這いつくばるサミュエルをミゲルは見下ろす。

 なぜかミゲルが恐ろしく思えて、マリアは声をかけるのを忘れてしまった。

「ギ、きさマ! 殺してヤる!!」

 全身の力を振り絞り、サミュエルが鋭い刃と化した腕で襲いかかる。

 しかしミゲルは微塵も慌てる様子がない。

 そして、一言静かに口にする。

「<魔封縛りバインド>」
「ガ!?」

 いきなり押しつぶされそうになり、サミュエルはその場に膝をつく。

「ほう、まだ起きてられるのか。<魔封縛りバインド>」

 二度目に同じ神聖魔法を唱えると効果が倍になる。

 サミュエルは重力に押しつぶされるように地に伏し、動かなくなった。

 気絶したのだ。

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~