★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

殺したいのに殺せない相手3

各話:表紙

 彼女は誰かと唇を重ねること自体初めてと言っていい。

 初めてだと断言しないのは少し前にもこの男とキスしたからだ。

 つまり、男女の色事はほぼ未経験なのだ。快感を逃す術も抗い方もまったくもってわからない。

 さらに質の悪いことに、この神父の唾液――正確には体液から得られる精気は、とても美味だ

 極上と言っても差し支えない。

 快感としての悦楽と、食感としての悦楽を与えられ、彼女は積極的に口づけを拒むことが出来なくなっていた。

「ん、ふ……んあ……あぁ……」

 自分の喉から出る鼻にかかったような甘い声に、マリアの頬が羞恥と悔しさで赤く染まる。

 こんなことは自分にとって絶対あってはならないことだ。

 自分より下等生物でしかも相手は天敵とも言える神父だ。

 そんな男に好きなようにされて嬌声を上げるなど、マリアにとって耐え難いことだった。

 なんとか身を捩って逃げようとするが、強引に与えられる快感と<魔封縛り>が効いていて思うようにならない。

 そのもどかしさにマリアは泣きたくなってくる。

「そんな処女みたいな反応しなさんな……やさしくしたくなる。ただでさえ外見だけならオレ好みなんだし」

 口を離しマリアを見つめるミゲルの瞳はうっすらと熱を孕んでいてどこか艶かしく、その奥に情欲の炎がちろちろとくすぶっている。

「ふざ、け、るな……っ」

 やっと絞り出した声は自分のものとは思えないほど、弱々しく覇気がなかった。

(くっ、なんなんだこの情けない声は……媚を売っているようで、いや、だ……)

「さっきまでの威勢はどうした。そんなしおらしい反応して……調子狂うだろ。今からつっこんで出そうってのに。今まで何人の男をこの体で虜にしてきた?」

 自嘲の笑みを口元に浮かべ、ムードにかける一言をミゲルはあっさり口にする。

「下品な物言いはよせっ」

 思わずマリアの喉から声が迸った。怒りに満ちた瞳がミゲルを睨みつける。
 だがそれは彼にとって逆効果でしかない。

「いいねぇ、その顔。屈服させてやりたくなる。気の強い女は嫌いじゃないぜ? 魔方陣で押さえつけられて意識が落ちそうなぎりぎりのところで、踏ん張ってあがいてるとこが最高に燃える。気絶したほうがよほど楽なのになぁ」

「……ゲス神父」
「人の生き血を啜る寄生虫に言われたかねぇな」

 その一言と共にミゲルの緑の瞳が一気に暗く冷たいものに変化した。

 それはまるで、吸血鬼に対して憎しみを抱いているように見える。

(この男……なんて目をするんだ)

 思わずマリアはぞっとして皮膚が粟立つのを感じた。

 一体なにが彼にこれほど暗い目をさせるのだろうかと気になった。

 しかし彼女に考える時間は与えられない。

 いきなり下着をずり下ろされたかと思うと剥ぎ取られ、スカートをぐいと上にたくし上げられた。

「なっ……み、見るなッ!」

 異性の前で晒したことのない秘された場所をあっさりと暴かれ、マリアは怒りと羞恥で耳まで赤くなる。

 恥ずかしくて恥ずかしくてたまらない。少しは遠慮しろと心の中で叫んだ。

「ちっ。ちっとも濡れてねぇな」
「こんな状況で、濡れるかっ」
「しょうがない……」

 面倒臭そうに呟くと、ミゲルの大きな手が彼女のロングブーツに伸び、そっと脱がせていく。

 たったそれだけのことなのに、なぜか興奮してマリアの脈が速くなる。

 両脚ともブーツを脱がされ、素足がさらされると何故か無性に恥ずかしい。

「あぁ、ムカつくくらい良い脚してんな……」

 感嘆の溜息と共にミゲルの熱い視線が太腿に絡みつき、恥ずかしさと共に胸がドキドキとしてしまう。

 マリアの脚を眺めながら、ミゲルは舌なめずりする。

 彼のすらりと伸びた指が膝頭から太腿へ、その柔肌の感触を味わうようにするりと撫であげていく。

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吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~