★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

bittersweet4

各話:表紙

 穏やかな気分でミゲルの部屋に着くと、バートをベッドに横たわらせ、早速彼は湯を沸かしにキッチンへ消えていく。

 マリアは手にした包みをそっとテーブルの上に置く。

 パン屋で貰った二人分のパンだ。出来たての香りには劣るが、冷めてしまった今でも食欲をそそる。

 すぐにコーヒーの香りが部屋中に広がり、マリアは胸をときめかせた。

「はい、おまちどうさん」

 コトリと小さな音を立てて、目の前に熱々のコーヒーが注がれた陶器製の白いカップが置かれる。

 マリアはそれをそっと手に取るとふーふーと冷ます仕草をする。

「いただきます」

 ひと口啜ると口の中にコーヒーの香りが広がり、甘い味付けのそれが彼女をほっと一息つかせる。

 内側から体もあたたまり、だれにともなくマリアは幸せそうに微笑んだ。

 そんな彼女の様子に和みつつ、ミゲルもコーヒーを口に運んだ。

「割と強くなってきたな。この分じゃ明日の朝までやみそうにないな」

 シャワーのように雨が降り注ぐ薄暗い窓の外を眺めながら彼は言った。

 つられてマリアも外に目を向ける。

 すると音もなくミゲルの手が彼女の頬をそっと撫でた。

 そのまま隣に座っている彼は、端正な顔をマリアに寄せていく。

「なん……」

 だ、と言おうとしたときには互いの唇が重なっていた。しかし――。

「に、にがっ……」

 咥内に滑り込んできたミゲルの舌があまりにも苦く、マリアは思わず口を離す。

「だろうな。オレが飲んでるの濃いブラックコーヒーだし」

 ニヤリと笑い、再び唇を重ねるミゲルだ。

「んっ、苦いのは……」
「そのうち甘くなる」

 楽しげに目を細めながら、ミゲルはマリアの舌を味わうようにねっとりと絡めてくる。

 そのたびに苦味が押し寄せてきて思わずマリアは眉間に皺を寄せる。

(なにがそのうち甘くなるだっ! 苦いにも程があるぞ)

 初めこそ予想以上の苦味にミゲルの舌から逃げ回るマリアだったが、散々咥内を愛撫される頃には気にならなくなっていた。

 甘いマリアの舌を丹念に嘗め尽くすようにされると、唾液で薄まったのか苦味は感じなくなっていた。

 そうすると今度は、ミゲルの唾液が甘く感じられて、気がつけばいつの間にやらマリアのほうが執拗に彼の舌を吸っていることに気付く。

「……っ」

 一瞬はっとして離れようとしたが、逃がさないとばかりにすでに後頭部にミゲルの手が添えられていて身動きできない状態になっている。

「もっと味わえよ、オレを」
「んん……ふ……ぁ……」

 淡く笑んでほんの少しだけ口を離してそういうと、ミゲルはマリアに自分の唾液を流し込んでくる。

(ああ……駄目だ。どうしよう……神父のくせに、こんなに美味しいなんてほんと卑怯だ。頭ではこんなことは避けるべきだとわかっているのに、体は勝手に喜んでこいつの精気を味わっている。――だけど、こんな状況がいつまで続くのだろう。愛し合っているわけでもないのに、命を繋ぐためだけに唇だけでなく体を重ねるだけの関係が――)

「ミゲル、もう、いいだろう……」

 僅かに唇を離しそう告げる彼女の顔に陰がかかる。

「どうした、もう腹いっぱいか?」
「いや。だが、これ以上は……」

 理由はわからないが落ち込んだ様子の彼女に、ミゲルはわかったよ、と体を離す。

↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
吸血鬼と不良神父~
~桜猫*日和~