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宰相との出会い2

各話表紙:羽娘 純粋無垢な羽なし娘は~

(……このお屋敷は、まるで美術館みたい。豪華だけど嫌味がなくて居心地がいい。とても素敵。こんなところで働けたら幸せだろうな……)

 リーティアは軽く心躍らせつつ、中年女性の後に続く。と、ある一室に案内される。

「まずは、ここで服を着替えてください。こちらのメイド服が仕事着になります。わたくしは、この舘のメイド長を勤めるメイリアと申します。着替えが済んだら呼んでください」

「はい、わかりました」

 メイリアは神経質そうに眼鏡をくいと上げると部屋を出た。

 リーティアは机の上に置かれたメイド服を手に取り広げる。

「うわぁ、可愛い。こんなにかわいい服をきてお仕事するんだ」

 身に着けていた服を脱ぎメイド服に着替える。

 メイドドレスは足首辺りまである長いものだ。

 頭には白く波打つフリル素材のホワイトブリムをつけて完成である。

(似合ってるかな? お母さんにも見せてあげたい)

「メイリア、さん。着替え終わりました」

 ドアが開きメイリアが姿を現す。リーティアを上から下までざっと一見し軽く頷く。

「制服はきちんと着られていますね。では、これから雇い主である旦那さまのお部屋へ案内します。失礼のないようにするのですよ」

「はい、わかりました」

 メイリアと二人ふかふかの赤絨毯の上を歩いていく。

 窓の外をみると木々の生い茂る広い庭が目の前に広がっている。

(さすが宰相さまのお屋敷ね。家の中にこんなに広い庭があるなんて。わたしだったら、こんな広い庭、持て余してしまうわ)

「つきましたよ」

 メイド長メイリアのひと言で、はっとする。

 メイリアはドアを三回ノックするとこう続けた。

「旦那さま、新しく入るメイドを連れてまいりました」
「よい、通せ」

 低めの耳触りのよい声で返事が返ってきた。

 それだけでリーティアは少しどきりとした。

 ドアを開けメイド長に続いて入室する。

 まず目に入るのは大量の本だ。

 ところどころ床に平積みになっている。

 それも難しそうな本ばかりだ。

(声はしたのに誰もいない?)

 リーティアは視界に誰もいないので、辺りをキョロキョロと見回す。

 目の前の机は高々と積み上げられた本で視界が遮られている。

 宰相は恐らくその向こうに、居るのだろう。

 本を倒さないように、リーティアとメイド長は足場を選んで進み、執務机の横にたどり着く。

 すると本の隙間から艶やかな黒髪が、ちらりと見えた。

「旦那さま、こちらに」
「ああ、悪い。書類に夢中になっていた」

 傍に控えて立つこと数分、存在を忘れられていると判断したメイリアが自分の主人を促す。

 別に慌てるでもなく、宰相はゆっくり立ち上がり姿を現した。

「これはまたずいぶんと若い娘が来たものだな」

 リーティアを見て、軽く驚いた様子で宰相がそう言うと、メイド長も同意したのか、こくりと頭を下げる。

「メイリア、案内ご苦労だった。持ち場に戻っていいぞ」
「はい、旦那さま」

 返事をするとメイド長はさっさと退室してしまった。

「私はリュシアン。一応この屋敷の主ということになっている。というのもほぼこの書斎しか使わないのでな。私よりも屋敷の者たちのほうが詳しいくらいだ」

「あ、わたしはリーティアと申します。よろしくお願いします!」

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