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宰相との出会い

各話表紙:羽娘 純粋無垢な羽なし娘は~

「お母さん。わたし、もう自信ないよ……昨日の宿屋で二十一件目だったんだ……わたしなんかを雇ってくれるところなんて、ないのかも」

 はあ、とため息を吐くと余計に気持ちが暗くなる。

「リーティア、お母さんはそうは思わないわよ。あなたみたいに素敵な娘を雇わないなんて見る目がない証拠よ。大丈夫よ、お母さんはあなたが頑張ってること、ちゃんとわかってるからね。今すぐ足が治ればいいんだけど」

 母親は自信をなくして情けない顔の愛娘を抱きしめ、いいこいいこ、と頭を撫でる。

 そのお陰か、少しずつ気持ちが落ちついてくる。

「うん。ありがとう、お母さん。次、行くところは宰相さまの屋敷だから、明らかに無理そうだけど……当たって砕けろの気持ちでいってくるね!」

「いってらっしゃい。お母さんはいつでも応援してるからね!」

 頬に口づけられると、リーティアは少し元気になる。お返しの口づけをして家を出た。

 

 

 面接を受ける前から、まったく受かる自信がないリーティアの表情は暗い。

(だけど、お母さんが応援してくれてるし、なんとしても仕事をもぎとらなきゃ! ……もぎ取れると、いいな)

 リーティアは胸の前でぐっと拳を握った。

「宰相さまの屋敷の下働き……なんだか羽なしは来るなって門前払いされそうだけど」
(どうしよう……怖い。またあんな冷たい目を向けられたらわたし――)

 宿屋での一件を思い出し、リーティアの表情が曇っていく。

(それでも、行くしかない。もう、わたしには選択肢が残されていない。まさに崖っぷちだ)

 相変わらず、目深に被ったフード越しにも突き刺さってくる視線が身を苛む。

 行動を起こせば起こすほど、異端であるリーティアの存在は浮いてしまい、差別の対象となるようだ。

(宰相さまの屋敷までもう少し……)

 重い心と体を引きずるようにして歩く間も、周囲の視線で体力と気力が、ごりごりと削れていく気がした。

 ほどなく小さめの城といった風情の屋敷が目に映る。

 近づくにつれ、その建物はどんどん存在感を増し、門の前まで来た。

 門だけでも、余裕で馬車が二台並んで走れるほど幅がある。

「――なんて大きいお屋敷」

 初めて宰相の屋敷を訪れたリーティアは、自分の家とのあまりの違いに溜息が出た。

 門の入り口には門番が立っており、彼女は紹介状を門番にすっと差し出す。

 すると門番は顔色一つ変えずに、中へどうぞとリーティアを屋敷に通す。

 門を通り過ぎて少し歩くと、向こう側から中年女性がこちらへ歩いてくる。

 なんだろうと訝しげに思いつつ歩いていると、声をかけられた。

「リーティアさんですね?」
「あ、はい。下働きの募集を見てきました」

 おずおずと答えると、メイド服に身を包んだ中年女性は一礼した。

「お待ちしておりました。わたくしに、ついてきてください」

 いかにも真面目で厳しそうなメイドさんだ、とリーティアは思った。

 それと同時に、なぜか信頼できる気がした。

「は、はい!」
(よかった! 門前払いされなかった!)

 それだけでリーティアは嬉しくなる。

 ここは、どうやら話も聞かずに追い返されることはなさそうだ。

 少しだけ重かった気持ちが軽くなった。

 それに仕事だと割り切っているせいか、羽なしのことにも何も尋ねてこない。

 それがリーティアにとっては、とてもありがたかった。

 屋敷内は、それはもう豪華で美しかった。

 白い壁に囲まれ、床には赤い絨毯が敷かれ足音を吸収する。

 壁にかかる洋燈(ランプ)すらも繊細な装飾がなされており品がよい。

 光がいっぱいに差し込む大きな硝子の窓も、それを彩るカーテンも、壁を飾る絵画もどれもが素晴らしい。

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純粋無垢な羽なし娘は~
~桜猫*日和~