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天啓2

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

 誰かに説明されずとも、自ずとわかってしまった。

 一瞬、神の叡智ともいえるものを垣間見たような気がした。

 奇跡の力が白銀の光となって、あとからあとからフィアーナの中に入ってくる。

 想像もつかないほどの莫大な力が入ってくるのに、少しも苦しいと感じない。

 眩い光の奔流は五分ほどかけて、すべてフィアーナの中に収まった。

 光が消えるとラミレスと母親は目を開けた。

 二人の目の前にはベッドの上に浮かぶ、白銀の光りに包まれたフィアーナがいる。

<そなたは、この娘の”ソーン”。守護者である。いつ、いかなるときも寄り添い守るのだ>

 フィアーナの口から、大人の女性の声が発せられた。

「……謹んで拝命いたします」

 ラミレスは自然と跪き、宣言していた。

 不意のことに僅かに声が震えていた。

 フィアーナの指先が、とん、と軽くラミレスの額を突いた。

 するとラミレスの体が一瞬白銀に光って元に戻った。

<聖女ほどではないが、そなたに神の祝福を与えた。余程のことがない限り、命を落とすことはない>

 声が止むと同時にフィアーナはその場に崩れ落ちた。

「フィアーナ!」

 慌ててラミレスが受け止めるが、普段勉強ばかりしている彼はフィアーナをうまく受け止められず、壁に頭をぶつけた。

 それでもフィアーナが傷つくことだけは避けることができた。

 フィアーナの母親はその場で腰を抜かしてしまった。

 無理もない、平凡な娘だと思っていたのに、突然娘が聖女だと言われたのだ。

「まさかフィアーナが聖女になるなんて……そして私が守護者だなんて」

 フィアーナを抱きしめるラミレスの瞳に強い光が宿る。

 先の天啓のとおり、フィアーナを守るという強い意志の現れなのだろう。

 このあとは大変だった。

 フィアーナが落ち着いてからがいいということで、翌日、ラミレスと共に神殿に向かった。

 神殿に着くと着替えが用意されており、フィアーナは聖衣に着替えるよう促された。

 準備が整うとまずは法皇や大司教などの要人の挨拶巡りに行く羽目になった。

「ようこそ、新しい聖女さま。お名前を聞いてもよろしいかな?」

 フィアーナに語りかけるのは、齢六十を過ぎようかという品の良い紳士だ。

 標準より少し出たお腹が法衣とあいまって、やわらかな雰囲気であるのにどっしりとした安心感を感じる。

「は、はい。フィアーナ・エルスワイヤーと申します」

「なんとも可愛らしい聖女さまだ。私は法皇のカールです。四年間どうぞよろしくお願いしますね」

 日常では滅多に姿を見ることのない法皇を見ることができて、フィアーナは緊張している。

「はいっ」

 法皇が四年間と言ったのには理由がある。

 はるか昔から聖女は決まって十四の少女が選ばれ、四年経つと新しい聖女が現れる。

 つまり聖女は四年周期なのだ。

「それとラミレス。君は見習いの中でも特に優秀だと聞いている。守護者に選ばれるのも道理だな。聖女さまの力になってやってくれ」

「はい、お任せください」

 ラミレスも緊張しているようだが、どこかその表情は誇らしげだ。

 こうして次々と挨拶を済ませ、与えられた部屋に戻ってきたときにはフィアーナはヘトヘトだった。

(聖衣って軽いけど着慣れないせいか、なんだか疲れちゃった)

 とりあえず部屋着に着替えようと、フィアーナは聖衣を脱ぎはじめる。

 一番上の上着を脱ぎ、次の上着を脱ぎ、末広がりのロングドレスを脱ぐ。

 そして下着のみになったとき、ガチャリと音がして部屋の扉が開いた。

 現れたのはラミレスだった。が、二人はお互い見つめ合ったまま固まってしまう。

 僅かな沈黙の後、フィアーナは小さな悲鳴を上げた。

「ごめんっ!」

 ラミレスは物凄い速さで扉を閉め外に出た。

 神殿がはじめてのフィアーナに気を利かせて夕食に誘いにきたのだった。

 

(もう、あれから十年経ったんですね……)

 当時を思い出していたフィアーナはくすりと笑った。

「なんですか、急に笑ったりして。なにか楽しいことでもあったんですか?」

 ラミレスの問いにフィアーナはクスクス笑いながら答えた。

 昼食はとうに食べ終えていた。

「ここに来たばかりの頃、ラミレスがわたしの下着姿を見たときのことを思い出したんです」

「ああ、そんなこともありましたね。別に下着姿を見たかったわけではありませんが、見せてくれるならいつでも言ってください」

 そう言ってラミレスはにっこりと笑みを浮かべた。

 愛想笑いを浮かべつつ、月日の流れは恐ろしいとフィアーナは思った。

 

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~