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両手と両足

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

「手袋を取っていただけますか?」
「ええ」

 無事にラミレスの部屋に着いた二人は、早速浄化を始めようというところだ。

 部位が広いということで、フィアーナはベッドに横たえられている。

 フィアーナはそっと白レースの手袋を外す。

 が、次の瞬間、彼女の表情が凍りつく。

「あ……っ、な、なんて、こと……――!」

 外した手袋から現れた自分の手は、不気味な青紫色に染まっていた。

 これまでの痣としてではなく、手全体が変色していたのだ。

 手首から先が壊死しているような色合いで、これではまるで死人だ。

「フィアーナ、もう見ないほうがよいです」

 フィアーナの穢れの具合が見えるラミレスは、言葉少なに口にした。

 すべて知ってしまえば彼女がどれだけショックを受けるかわかっているからだ。

 だがフィアーナはふるふると首を横に振る。

「ラミレス、お願い……袖をめくって見せて」

 フィアーナは動揺しつつも、自分の体がどうなっているか確認しておきたくて、ラミレスに呼びかける。

「後悔、しませんか?」

 ラミレスの落ち着いた問いかけに、フィアーナはこくりと頷いた。

 それを確認すると、ラミレスはフィアーナの服の袖をそっと上に引き上げる。

「……!」
 フィアーナは明らかになる事実に絶句した。

 手首から肘、二の腕にいたるまで、余すところなく不気味な青紫に変色している。

 鈍器で殴られた痕のような、気味の悪い痣だ。

(うそ……こんな……自分の腕じゃないみたい……ということは、私の両足も……)

「もうよろしいですか?」
「足も、なんですね。そっちも見せてください」

 そうお願いするフィアーナはすでに顔面蒼白だ。

「わかりました」

 ラミレスはフィアーナの聖衣の裾を掴むと、彼女の足の付根近くまで引き上げた。

 足の爪先から太ももまで、腕と同じように青紫に変色している。

「……」

 フィアーナは自分の両手両足が、気味の悪い斑の青紫に変化しているのを確認すると、そのまま意識を手放した。

 乙女にとって、いや女性なら誰でも自分の肌が不気味な色に染まっていたら、多大なショックを受けるだろう。

 それが両手両足すべてとなれば、なおさらだ。

「だから、やめておけと言ったのに。だが真実から目を背けないお前が、俺は好きだ」

 困ったように笑みを浮かべると、ラミレスはフィアーナの腕に顔を寄せた。

 

 どれくらい気を失っていただろうか。

 フィアーナはぼんやりとした意識の中、どこかくすぐったい感覚を覚えた。

 「んん……」

 徐々に意識が鮮明になってくる。

 なにかが自分の肌をやさしく撫で回している。

 いや、撫でると言うよりは、温かいものが這っているような感覚だ。

 なんだろうとフィアーナは重い瞼をそっと上げた。

 すると視界に入ったのは銀色の髪だった。物心つく前からよく知っているものだ。

「ラミレス……」

 フィアーナが呟くと、ラミレスはそっと顔を上げた。

「起きたか。今ようやく右腕が済んだところだ。浄化にはもう少し時間がかかる。気を失うくらいショックを受けたのなら、もう暫く眠っていろ」

 ラミレスの静かで落ち着いた声にホッとする。

 そういえば自分は浄化を受けるところだったのを、フィアーナは思い出した。

 ちらりと視線を動かし確認すると、右腕は元に戻っていた。

 それがフィアーナの心を落ち着かせてくれた。

「ありがとう……でも浄化のためとはいえ、手足を全部舐められるのは、恥ずかしいですね……」

 フィアーナが照れくさくて微笑むと、ラミレスも微笑み返す。

「俺にとっては役得だけどな。たとえお前が全身痣だらけになっても綺麗に浄化してやるから、安心しろ」

「はい」

 ラミレスのやさしい言葉にフィアーナは涙が出そうなほど嬉しくなる。

 ラミレスが傍にいてくれるだけで、なにも怖くない気がした。

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~