★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

お務め

各話表紙:聖女

 翌日。フィアーナが起きて身支度を整えると、ちょうど扉をノックする音がした。

「フィアーナ、起きてますか?」

 昨日の言葉通り、ラミレスが迎えに来たのだ。

 フィアーナはすぐに扉を開け部屋を出た。

「おはようございます、ラミレス。今日もよろしくお願いします」
「はい、おはようございます。今日は昨日より一人少ないので、少しだけ気持ちが楽です」
「そうですか。予定表を見せていただけますか?」
「どうぞ」

 二人は神殿内の長い廊下を歩きながら今日の予定のすり合わせをする。

 フィアーナは面会の予定表を上から下まで順番にチェックする。

「さすがですね。症状が重い順に組んでくれてるんですね」
「ええ、フィアーナもそのほうが気が楽でしょう?」

 フィアーナが嬉しくてラミレスを見上げると、温かな眼差しを向けられた。

 心がほっこりとする。

 朝日がラミレスの銀髪を照らし宝石のように煌めく。

 フィアーナは朝のこの瞬間がとても好きだ。

 ラミレスのやさしい微笑みを見ると、元気が湧いてくる。

 そしてフィアーナは元気に返事をする。

「はい。今日も一日頑張ります!」

 やがて二人は面会の場についた。小さな教会のような建物で、色鮮やかな硝子が窓を飾る。

 奥に祭壇があり、その手前に繊細な装飾が施された白く立派な椅子が置かれている。

 さらにその手前に、十分すぎるほどボリュームのあるやわらかなクッションが置いてある。

 この教会のような建物は『癒やしの聖堂』と呼ばれている。

 フィアーナがラミレスとともに聖堂に入ると、すでに午前中に癒やす予定の者たちが集まり、席についていた。

 二人が現れると、彼らはこれで救われると希望の光をその瞳に宿した。

「ああ、聖女さま。なんとお美しい……」
「これで助かる……もう苦しまなくてすむんだ」

 あちこちから期待の声と眼差しが、フィアーナに向けられる。

 フィアーナはその期待に応えるように、皆が安心するような慈悲に満ちた笑みを浮かべた。

 ラミレスにエスコートされ、用意された椅子に腰掛ける。

「皆さん、お待たせいたしました。遠路はるばる来られた方もいらっしゃることでしょう。この場にお集まりいただき感謝いたします。ではこれより聖女による癒やしを行います。番号をお呼びしますので、順番にお待ち下さい。また、なにかございましたら、直接聖女ではなく私に言ってください」

 ラミレスが簡単な挨拶と注意事項を述べる。

 癒やしを必要とする者たちには前もって番号札が配ってある。

 余計なトラブルを防ぐことと、スムーズに予定を進めるためだ。

「一番の番号札をお持ちの方、前へどうぞ」

 ラミレスが呼ぶと一番目の患者がフィアーナの前に現れた。

 付き添いの者に横抱きにされており、自力で歩けないほどに衰弱している。

 意識も朦朧としていてどこを見ているのかわからない。

 皮膚にはたくさんの水疱ができ、所々血が出ている。かなり痛々しい。

 フィアーナは胸を締めつけられる思いがした。

 そして癒やしの力があることに、これほど感謝する瞬間もない。

「大丈夫、助かります」

 フィアーナは患者の額にそっと手をかざす。

 ほんの少し意識を集中すると、フィアーナの全身が淡く輝く。

 その輝きはとても温かで、見ているだけで安心感が湧いてくる。

 やがてその温かな光が患者の全身を包み込む。

 そして患部から光の粒が弾けて空中に消えていく。

 時間にしておよそ二、三分といったところだ。

 光がすべて消えると、患者は完治していた。

 水疱だらけだった肌から、跡形もなく水疱は消え失せ、虚ろだった目に生気が戻っている。

 そして次の瞬間、誰がどう見ても重体だった彼が立ち上がった。

 フィアーナとラミレス以外のその場にいた全員が、その奇跡に驚き聖堂内が一気にざわつく。

 聖女の力が本物で強力であるとわかったことで、その場にいる患者たちは本当に助かるのだと大いに喜んだ。

 中にはすでに涙している者もいる。

「あ、ありがとうございます! ありがとうございます! 聖女さまっ! この御恩は一生忘れません!!」

 一番目の患者に付き添ってきた者が、感動の涙を流しながら、床に額を擦り付けて何度も何度も礼を言う。

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~