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昔のこと

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

「フィアーナ、私たちも昼食に行きましょう」
「ええ」

 当然のように自分に向けて差し出されたラミレスの手を取り、フィアーナはともに食堂へ向かう。

「一応食堂に行きますけど、どこで食べますか? 部屋で食べますか?」
「今日は食堂で食べたいです。すごくいい天気だからテラス席に行こうと思うのですけど」
「わかりました。では私が食事を運ぶので、先に席について待っててください」
「あっ、ラミレス……」

 フィアーナの返答を待たず、ラミレスはさっさと行ってしまった。

(でもラミレスに任せておけば安心ですね。わたしの体調も好みも知り尽くしてるんだもの。神官の域を超えて過保護かと思うけど、それが心地よくて甘えてしまいますね)

 フィアーナは絶妙な木陰の落ちる席を見つけて座る。

 暑いと言うほどではないが、やや熱気のある風が吹いている。

 フィアーナの銀髪がサラサラと風に揺れる。陽の光を反射して七色の宝石のように煌めいた。

 そんな彼女の様子を食堂にいる者たちは、ため息混じりに眺めるのだった。

 そう待たされることもなく、ラミレスが昼食を載せたトレイを運んできた。

「お待たせしました。今日は魚介類を使ったパスタとサラダにしました。あと桃があったのでそれも」

「ありがとう、ラミレス。いつもわたしが欲しいものとぴったりで感心します」
「伊達に十年聖女付きの神官をしてませんからね。さ、いただきましょう」
「はい」

 フィアーナは嬉しくて笑顔になる。魚介類とホワイトソースを絡めたパスタは大好物なのだ。

 フォークでパスタをクルクルと巻きながら食べていると、ラミレスの食事が気になった。

 ラミレスはレアのステーキと野菜をメインとした昼食だ。フィアーナの食事より倍近く量が多い。

「フィアーナ、あの少女が私を婿にと言い出したとき、ドキッとしたのではないですか?」
「えっ……そ、それは……少し……」

 なぜその話題をとフィアーナは少々面映い。

「もし私があのまま少女について行ったら、どうしました?」

「それがラミレスの意思なら、わたしが止める理由はありません……でも、暫く落ち込んで立ち直れないと思います」

 フィアーナがそう言うと、ラミレスは僅かに目を細くした。

「では私の意思を無視して連れて行かれたら?」
「そうですね……そのときは聖女としての地位を利用してラミレスを返してもらいます」
「なるほど。では、聖女でなかったら?」

 一旦食べるのをやめ、ラミレスはフィアーナをじっと見つめる。

「聖女でなかったら、ですか。難しいですね……ただの平民のわたしにどこまでできるのかわかりませんけど、大人しく見ているわけにいきませんし。どうにかその少女に会って、直談判でしょうか……」

「そうですか」

 フィアーナの答えに割と満足したのか、ラミレスは再び食事をはじめる。

「でも、わたしがラミレスくらい強かったら、どこまでも追いかけて奪い返すと思います。それくらい大切な人だから」

 フィアーナがそう告げると、ラミレスは一瞬固まったのち発火する勢いで真っ赤になった。

「どうしたんですか、ラミレス。急に顔が赤くなって、熱でもあるんですか?」

 滅多に見ることのないラミレスの表情に、フィアーナは少し心配になった。

「いえ……これは、特になんでもありません……」

 ラミレスは動揺しながらも残りの肉をパクパクと平らげる。

 彼は自分からフィアーナに好意を伝えることは平気なくせに、彼女がそれに近い言葉を口にすると嬉しさと照れで赤くなってしまうのだ。

 大切な人という一言がかなり嬉しかったらしい。

「具合が悪かったら遠慮なく言ってくださいね。いつもラミレスには助けてもらってばかりだから」
「体調は絶好調です。それにあなたを助け、守るのは神官として当然のことですから」
「はい」

 食事を終え口元を拭うラミレスを眺めながら、フィアーナは淡く微笑んだ。
 食事を終えた二人は、神殿の緑豊かな中庭に移動する。そこにはすでに先客が五人ほどいた。

「ラミレスをお婿さんにって言っていたあの少女、あれくらいの年に聖女になったのだと思うと、なんだか感慨深いです」

(わたしが十四歳の誕生日を迎えてから一ヶ月後でしたね、天啓が現れたのは――)

 フィアーナは一昔前に思いを馳せる。

 

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~