★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

守りたいのに2

各話表紙:聖女

「大丈夫です」

 フィアーナの緊張を感じ取ったラミレスが、そっと手を握りしめてきた。

 それだけでフィアーナは胸が熱くなる。

「皆集まったようだな。ではこれから、聖女と聖女付きの神官に関する審議をはじめる」

 進行役の大司教の言葉で会議がはじまった。

 その雰囲気はまるで異端審問のようだ。

 この部屋に集まった者の半数近くが、裏切り者を見るような視線をフィアーナとラミレスに向ける。

「まず私から事情をざっと説明しよう。事の発端は、聖女であるフィアーナが私のもとを訪れ、聖女でなくなったという報告を聞いたことだ」

 法王の言葉に室内が軽くざわつく。

「フィアーナ、答えにくいかもしれないが、なぜ聖女でなくなったのか、話してくれるかい?」

 あくまでも法王はフィアーナを責める様子はなく、穏やかだ。

「わたしは、もう聖女でいることが限界でした。ラミレスを、愛しているから……これ以上続けることは、できません。皆様のお怒りはごもっともだと思います。お詫びのしようもございません」

「恐れながら猊下。すべては私の一存でしたことです。フィアーナはなにも悪くありません。私が彼女の純潔を奪ったのです」

 ラミレスの発言にフィアーナはハッとする。

 あれほど言ったのに、なぜ彼は不利な発言をするのかと思うと苛立ちを覚えた。

「奪われたのではありません。わたしは合意したのです。本当に嫌なら、いつでも大声を上げて人を呼べば済んだことですから。拒みきれなかったわたしが悪いのです。どんな罰でもお受けします。ラミレスは私を救うために……聖女という重荷から解放するために協力してくれただけなんです」

 フィアーナが毅然と答えると、すぐにラミレスがそれを否定する。

「違います! 私が彼女を愛するあまり強引に事に及んだのです! 聖女を穢すといいう大罪を私は犯したのです。罰なら私がいくらでも受けます。フィアーナは被害者で、なんの罪もありません! ですから罰を与えるなら私だけにしてください! お願いします!」

 ラミレスは全身から振り絞るように声を発し、その場に膝を付き、深紅の絨毯に額を擦り付けんばかりに頭を低く下げた。

 それを見たフィアーナが凍りつく。

 これではラミレスを守り切ることができない。

 その絶望がフィアーナを叫ばせる。

「やめて!! 土下座なんてしないでっ! ラミレスがそんなことする必要ない。わたしのためにそんなに簡単に身を投げ出さないで! どうしてわかってくれないの!? わたしだって守られるだけじゃなく、あなたを守りたい。わたしだって、ほんとうはずっとつらかった……攫われるたびにあなたが助けに来てくれたけど、いつも傷だらけで、ときには大怪我をして……愛しい人が怪我をしてくるのに、ずっと笑顔を見せていられるほどわたしは強くない……」

 感情が高ぶったフィアーナの青い瞳から、熱い涙がポロポロとこぼれ落ちる。

「ずっと我慢して笑顔でいられると思っていたけど、もうそれは無理だった……。あなたが穢れを浄化して、初めて涙を流したのを見て、やっと気づいたの。もう、限界だって……これ以上聖女として生きるのは無理だって……だから、あなたに抱かれたように思えるかもしれないけれど、わたしは一人の女性としてあなたを受け入れたかったの……心の奥で、ずっと、そう思ってた……――」

(わたしは被害者なんかじゃない。いつかラミレスがこうするとわかっていて、そして、それを受け入れた。自分の意志で。彼を利用したも同然だ……)

「少し落ち着きなさい、フィアーナ」

 法王が子供をあやすようにやさしい声をかける。

 フィアーナの口から漏れた攫われるという言葉に、周りの高官たちは驚愕していた。

「聖女が攫われたとは、どういうことですか?」

 神官長のゴアが口を開いた。

 なにかとラミレスに難癖をつけてきた男だ。

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~