★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

守りたいのに

各話表紙:聖女

「フィアーナッ!」

 フィアーナが法王のもとを訪れたと聞いたラミレスは、血相を変え彼女の部屋に飛び込んできた。

「そんなに慌ててどうしたんですか?」

「なんて馬鹿なことを……っ! 猊下から呼び出されて行ってみれば、あなたから全て聞いたと……っ」

 よほど急いできたのか、ラミレスはまだ息が整わない。

「……いずれわかることです」

 法王に話したせいか、フィアーナは不思議と落ち着いていた。

「それはそうですが、なぜ、私が来るまで待ってくれなかったんです……!」

「だってラミレスは絶対わたしを守るために不利な発言をするでしょう? わたしはこれでも元聖女で女性だというだけで、同情されやすいけれど、あなたは違います。いつもあなたに守られてきたけど、わたしもあなたを守りたいんです」

 フィアーナの発言にさすがにラミレスも舌を巻いた。

「くそっ!」

 やりきれない思いにラミレスが壁を力任せに殴った。

「冗談じゃない。俺だけのうのうとしていられるか。なんのために俺が今までお前を守ってきたと思ってるんだ。極刑がくだされたりしたらどうする!?」

「わたしの命と引き換えにあなたが幸せになれるなら安いものだわ」
「ふざけるな!!」

 室内に怒号が響き渡る。

 そのあまりの鬼気迫る様子に、フィアーナはビクリと肩を震わせた。

「俺が今までどんな想いでお前を守ってきたと思ってる? 俺の命より大事だと言っただろう!? お前を犠牲にして生きながらえて、なんで俺が幸せになれるなんて思うんだ!」

「……それでも、あなたが死ぬよりいいの。ごめんなさい」

 フィアーナの意思は変わらない。

「……っ」

 一瞬顔を歪めたかと思うと、ラミレスがフィアーナを強引に抱きしめた。

「お前だけにつらい思いはさせない。俺も共に罰を受ける」
「そんなの駄目!」

「駄目じゃない。これは俺たち二人の責任だ。お前が死ぬなら俺も死ぬ。地獄の果てまでだってついていく」

「ラミレスの馬鹿っ!」

(どうして守らせてくれないの!? ラミレスさえ無事ならわたしはどうなったっていいのに……!)

 悔しくて悔しくてボロボロと涙がこぼれた。

 いつだってラミレスには守られてばかりだ。

「俺はもうずっとお前のことしか考えていない馬鹿なんだ。今更気づいても遅い」
「いや……いやよ……あなたにだけは、無事でいて欲しいのに……」

「まだ死ぬと決まったわけじゃない。それに俺は愛しい女を抱いただけだ。なにも悪いことなんてしていない」

 ラミレスのいうことはもっともだ。だがそれは、普通の男女の話だ。

「……う……っ」

(ああ、今ならわかる。ラミレスが言っていたことが。……聖女じゃなければ……!)

「フィアーナ、愛してる」
「うぅー……ふ……」

 愛を告げられ、フィアーナは胸がいっぱいになる。

 自分はラミレスの愛にどう応えたらよいのだろう。

「愛してる」

 尚もささやかれる愛の言葉に、フィアーナは涙が止まらない。

 自分からもラミレスに愛してると言いたいのに嗚咽がこみ上げてきて言葉にならなかった。

 

 翌日。

 フィアーナとラミレスは、神殿の奥のとある一室に呼び出された。

 そこは神殿にとって重要な事柄を話し合うために設けられた部屋だ。

 内密に集められた者たちで席が埋まり、会話が聞き取られないよう防音措置の取られた部屋だ。

 中央に縦長の机が置かれ、椅子が十個並ぶ。

 床は深紅の絨毯が敷かれ、白い壁には等間隔で高名な画家の風景画が飾られている。

 この場に漂う空気は重厚なものだ。

 法王を筆頭に神官長など高位の官職の者たちが一同に会する。

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~