Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

斑の痣

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

 いつものようにフィアーナは聖女としてのお務めを終え、昼を迎えた。

 今日も食堂で食べるだろうと思い、ちらりとラミレスを見遣れば彼は神妙な顔をしている。

(どうしたのかしら?)

「フィアーナ、今日はあなたの部屋で食べましょう。先に行っててもらえますか? 私は食事を運んできます」

「わかりました」

 フィアーナは自室に戻ると、四人がけのソファーに腰を下ろす。

(ラミレスがあんな顔をするなんて珍しい……それといつもより少し疲れた気がします)

 ソファーに背中を預け、ほうと一息ついていると、扉をノックする音がしてラミレスが入ってきた。

 フィアーナの分と自分の分をテーブルに並べると、ラミレスもソファーに腰掛けた。

「ありがとう、ラミレス。いただきます」
「はい、たっぷり食べてください」

 ラミレスに微笑まれフィアーナはほっとした。

 さっそく目の前の食事に手を付ける。

 真っ白な陶器の皿の上には卵サンドを中心としたサンドイッチが並ぶ。

 キュウリと卵、トマトとレタスと卵、チーズとキャベツと卵。

 どれも美味しそうだ。

 フィアーナは自然と笑顔になりサンドイッチを口元に運ぶ。

「おいしい……ラミレスも少し食べてみますか?」

 トマトとレタスと卵のサンドイッチが思いのほか美味しかったので、フィアーナはついラミレスに勧めたくなった。

 するとラミレスは食事の手を止めた。

「フィアーナが食べさせてくれるなら、いただきます」
「へっ?」

 満面の笑みで言われ、フィアーナは思わず間の抜けた声を上げてしまった。

 どことなく気恥ずかしく、頬が赤くなってしまう。

 しかし、このサンドイッチの美味しさを共有したい。

 というわけでフィアーナは食べかけてないほうを向け、ラミレスの口元まで運んでやる。

「はい、どうぞ……」

 ドキドキしながらラミレスが食べるのを待つ。

 男らしい引き締まった唇が上下に開き、パクリとサンドイッチに噛み付いた。

 だがその一口は、フィアーナの予想以上に大きすぎた。

「ああっ、なんでそんなにたくさん食べちゃうんですか! こういうのは普通一口です」

 だがラミレスは少しも気にせず、サンドイッチをモグモグと咀嚼し飲み込んだ。

「はは、フィアーナが美味しいと勧めるから期待に応えて多めに食べてあげたんです。トマトがとても瑞々しくて美味しかったです」

「ひどいです。代わりにそのステーキ、一口ください」
「ええ、もちろん喜んで」

 ラミレスは微笑むと、切り分けたステーキをフィアーナの口元にずいっと差し出す。

 しかし、その肉の塊は一口と言うにはあまりにもでかい。

「ちょっと待ってください。これでは大きすぎます。半分に切ってください」
「端のほうから少しずつ齧れば大丈夫ですよ」

 ラミレスが楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 少し引っかかりながらも、フィアーナはステーキの切れ端にカプッと噛み付いた。

 それから肉を噛み切ろうとモグモグと咀嚼する。

「どうです、美味しい肉でしょう?」
「ん……」

 咀嚼中のフィアーナは短い返事しかできない。

(それにしてもこの肉、美味しいですけど……なかなか噛み切れませんね……)

 噛み続けているうちに、フィアーナは顎が疲れてきた。

 しかしそれでも肉は噛み切れていない。

(ど、どうしよう……このまま口を離したら行儀が悪いですよね……困りました)
「……ん……っ」

 助けを求める用にラミレスを見つめると、じっくり観察されていることに気づく。

 その口元には笑みが浮かぶ。

「ほら、早く噛み切らないと、汁が垂れてしまいますよ」

 何故か自分が猫にいたぶられる獲物のように思えて、フィアーナはラミレスを睨みつけた。

 が、ラミレスにはまったく効果がないようだ。

「そんな可愛い顔で睨まれてもちっとも怖くありません」

 むしろラミレスの視線に熱がこもった気がする。

(これは、ヤバいかもしれない……この目はブラックラミレスのときとそっくり……)

7+
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~