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フィアーナの葛藤

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

「いい顔になったな、フィアーナ」

 目を細めたラミレスに頬を撫でられる。

 その男らしい手の甲が肌を撫でただけで心地よく、それから少しでも逃れようとフィアーナは顔を背けた。

 そのささやかな抵抗にラミレスはくすりと笑う。

「お願いだから、浄化以外のことしないで……」

 指を浄化するだけで喘がされてしまったフィアーナは恥ずかしくてたまらない。

 しかし、足は浄化されておらず、指一本動かせない状態だ。

 これでは逃げることもできない。

「まだ浄化しかしてないだろ? 右足と左足、どっちから先にするか選ばせてやる」
「どちらからでもいいです。いやらしいことしなければ……」
「舐めなきゃ浄化できない時点で、すでにいやらしいだろうが」

 なにを今更といった様子で、フィアーナを見下ろしながらラミレスが言った。

「それは、そうですけど……できるだけ、事務的に……してください……」
「……そこまでしてお前は聖女でいたいのか? こんな目に遭ってまで」

 ラミレスの口元から笑みが消え、真剣な眼差しを向けられる。

 顔を覗き込まれて、わずかにベッドがギシ、と軋んだ。

「後継の聖女はまだ現れてませんから。わたしが頑張らなくては、人々を救えません」

「俺だってお前を聖女という枷から救いたい……多くの救いを求める者たちとお前一人どちらを取るかと聞かれたら、間違いなくお前を選ぶ」

 微塵も気持ちがぶれることなく言い切られると、その強い思いにフィアーナは泣きそうになる。

(こんなに……ラミレスはわたしのことを大切に想ってくれている。嬉しくないわけがない……このまま素直に喜ぶことができたらどんなにいいか……!)

「……っ」

 フィアーナは胸が苦しくて胸元でぐっと拳を握りしめる。

 聖女という立場上、どうしてもすんなりとラミレスの心を受け入れることは、できないのだ。

「フィアーナ。今のお前を見ていると、とても幸せには見えない。俺もいい加減、新しい聖女のことは待ちくたびれた」

 ラミレスの言葉にフィアーナはなにも答えることができない。

 これまでは聖女としてのお務めを果たすことが、日々の生きがいでもあり充実していた。

 だが今は、心からそうだと言うことができない。

「だから、フィアーナ。今一度問う。このまま俺に純潔を捧げる気はないか?」

 ラミレスの表情は真剣そのものだ。

 一時的な肉欲から言っているのではないことは、十分すぎるほどに伝わってくる。

「……そんなことしたら、ラミレスは神殿にいられなくなるでしょう?」

「お前のためなら、俺はなんでもする。罪だって進んで犯す。お前の幸せのためなら手段はなんだっていいんだ」

 さらりと凄いことを、ラミレスはこともなげに口にする。

「そんなのダメ。罪人になんかなってほしくない。なにより……ラミレスが誰かに悪いように言われるのは絶対、嫌……」

(ラミレスが思うように、わたしだってラミレスには幸せでいて欲しい)

「平行線だな……お前は変なところで頑固だ」
「でもラミレスはわたしを助けてくれるんでしょう?」
「……狡いな。その問いには、ハイとしか答えられない」

 そこで二人は苦笑する。

 お互いの幸せを願うという点では、双方譲れないのだ。

 ラミレスは一度体を起こすと、フィアーナの足を浄化するために移動する。

 浄化しやすいように膝の裏に手を入れ、フィアーナの足を立たせると、そっと膝頭に顔を寄せた。

「……改めて見ると、物凄い色ですね。自分の足じゃないみたい……」

 浄化で元通りになるとはいえ、フィアーナは戸惑いを隠せない。

 それと同時に呪いの恐ろしさを実感した。

「安心しろ、触り心地は最高だ」
「そんな微妙な褒め方されても困ります……」

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~