Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

いつもと違う朝

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

 フィアーナはゆっくりと目を開けた。静かな心地よい朝だ。

 むくりとベッドから身を起こし、身支度を整える。

(ラミレスが迎えに来るまでに着替えておかなきゃ)

 まだ自分がこれを身に着けてもいいものかと迷いながらも、聖衣を身に纏う。

(昨日のこと、あやまらなきゃ。ラミレスを引っ叩いたあと顔も合わせずに寝てしまったもの)

 長く艷やかな銀髪に櫛を通しながら、フィアーナはラミレスにかける第一声を考える。

「素直に、ごめんなさい、がいいかしら?」

 髪の手入れが済むと、フィアーナは青い宝石のついたサークレットを身につけた。

 眉間より少し上で揺れるこの宝石が、第三の目のようだとラミレスにからかわれていたことを思い出す。

 それからしばらく部屋で待っていたフィアーナだが、少しもラミレスが来る気配がない。

「寝坊したのかしら? たまには迎えに行ってみるのもいいかもしれませんね」

 フィアーナは椅子から立ち上がり、部屋を出る。

 向かう先はラミレスの私室だ。

 フィアーナの部屋より少し離れた場所にある。だが五分もかからない。

 ラミレスの部屋の前に到着したフィアーナは、軽く扉を叩いた。

 しかし、なんの反応も帰ってこない。

「ラミレス、いないの? 入りますよ?」

 ドアノブを回すと鍵はかかっていなかった。

 なのでフィアーナは室内に入った。まったく人の気配がしない。

 もちろんラミレスはいなかった。

 どういうことなのかまったくわからず、フィアーナは近くの椅子に腰を下ろした。

 そのときちょうど、部屋の前をゴア神官長が通りかかった。

「そこにいるのは、フィアーナか?」

 声をかけられ視線を向ければ、ゴア神官長が部屋の入口からこちらを見ている。

「ゴア神官長……おはようございます」
「あ、ああ、おはよう……」

 神官長は今までフィアーナとラミレスのことを、上辺しか知らなかった。

 それが昨日の会議で重大な事実が明らかになり、戸惑っていた。

 ラミレスのことは聖女につきまとう若造、フィアーナのことはただ微笑んでいる綺麗なだけの聖女だと思い込んでいたのだ。

 だが事実はそうではなかった。

 ラミレスの表沙汰になっていない功績はあまりにも大きく、フィアーナは聖女としての自分に思い悩み、その身を蝕む穢れとも向き合ってきたのだ。

 通常であれば四年で終わるところ、この二人はそれを十年続けてきたことになる。

「神官長、ラミレスを知りませんか? いつもなら迎えに来るんですけど、今日に限って姿を現さなくて……」

「いや、私は見ていない」
「そうですか。もう少し自分で探してみます。情報ありがとうございました」

 フィアーナは椅子から立ち上がり会釈すると、ラミレスの部屋をあとにした。

 罪悪感から、癒やしの聖堂をさけるようにして神殿内を歩き回ってみたが、ラミレスはどこにもいない。

(法王さまなら、きっと知っているはず)

 フィアーナは起床から二時間後、法王の部屋を訪れたのだった。

「やあ、フィアーナ。そろそろ来る頃だと思っていたよ」
「え?」
「朝からずっとラミレスを探していたのだろう?」

 お見通しだと言わんばかりの微笑を向けられる。

 法王に促され、フィアーナは長椅子に腰掛けた。

 その対面に法王もゆったりと腰を下ろす。

「なにしろ急な申し出だったのでな。君に説明する時間がなかった」
「どういう、ことでしょうか?」

 フィアーナは早く話の続きが知りたくて、少し身を乗り出す。

「うむ。皆にはこれから発表するのだが、君には呪いにかかってもらうことになる」
「え? 呪いって……」

 予想外の返答にフィアーナは瞠目した。

 なぜ自分が呪いにかからなくてはならないのだろう。

 呪いには嫌な思い出しかない。

 以前助けた者の中に、呪いを受けていた者がいたことを思い出した。

 あのときは両手両足が指先まで、不気味な青紫に染まったのだ。

 心理的にも身体的にも、そして視覚的にもショックが大きかった。

 

3+
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~