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いっときの休日

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

 時間は早朝。やっと山の向こうから朝日が顔を出した頃。

 フィアーナは実家に戻ってきていた。ここは家の台所だ。

 目の前には強力粉やボウル、お湯が並んでいる。

 今日は休みなので、久々にパンを焼こうというのだ。

(こうやってのんびりパンを焼くのもずいぶん久しぶりだわ)

 なにしろ聖女になってからというもの、休日も度々予定が入ることが多かった。

 それはほかの神殿や教会の訪問であったり、王族から呼ばれたりと断りづらいものばかりだったのだ。

 フィアーナは鼻歌を歌いながら、材料を混ぜる。

 人肌に温めたミルクに卵を入れて軽く混ぜたのを、ボウルに入れた粉類にプラスして一緒に混ぜる。

 バターを加えるのも忘れない。

 小麦粉とミルク、砂糖、バターがお互い活かし合う配合だ。

 今作っているのはバターロールだ。

 生地ができたら、次はこねる作業だ。

 手のひらで押すように伸ばしながら何度もバターをなじませる気持ちでこねる。

 それが済んだら、次は叩きつけながらこねる。

 手首の捻りを利用して板に叩きつける。

 その生地を半分にたたみ、横からもってもう一度手首の捻りを利用して叩きつける。

 これを繰り返すと粘りが出てモチモチ感が増すのだ。

 ストレス解消にもなるので、フィアーナはこの叩きこねが好きだ。

 ベチンベチンと叩きつけているとスカッとする。

 大体生地がこね上がると、伸び具合などをチェックして、一次発酵に移る。

 その次は成形する。ねこの手の形で丸めて、表面の膜が切れないように注意する。

 それから少し生地を休ませて柔らかくする。

 生地が柔らかくなったところで、薄く伸ばしてクルクルと丸める。

 次に二次発酵へと進む。

 それができたら表面に卵を塗って、石窯で焼く。

 約十分ほどで焼き上がりだ。

「おや、いい匂いがすると思ったら!」
「あ、お母さん、おはよう」

 焼き立てのパンの香りにつられてフィアーナの母親が起きてきた。

「懐かしいわねぇ。またラミレスに持っていくの?」

「うんっ! こんなにゆっくり休める日は中々ないから……これくらいじゃ大したお礼にもならないけど、たまには手作りの朝食作ってあげようって思って」

 フィアーナがにこにこしながらパンの乗った鉄板を取り出すと、母親も楽しそうに笑みを浮かべる。

「じゃあ、サラダ用に野菜取ってこようかね」
「わ、助かる。ありがとう、お母さん」
「いいのよ」

 母親は楽しそうに家の裏の畑へ向かった。

 バスケットに焼き立てのパンと、母親が用意してくれた野菜で作ったサラダを入れ、紅茶の入った水筒をフィアーナは持った。

「お母さん、じゃあ行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい」

 母親に笑顔で送り出され、フィアーナはラミレスの元へ向かう。

 すっかり朝日が昇り、世界は明るく照らされている。

 そろそろラミレスも目的地へ向かっている頃だ。

 昨日のお務めが済んだあと、近くの丘で朝待ち合わせをすることにしたのだ。

 久しぶりにパンを焼くから、待っていてと。

(心も体も羽のように軽い。ラミレス喜んでくれるかしら?)

 上機嫌で丘を駆け上っていくと、先に到着していたラミレスの後ろ姿が見えた。

「フィアーナ、おはようございます」

 すぐにフィアーナに気づいたラミレスが振り返る。

 朝日に照らされた銀髪が宝石のように煌めく。

「おはよう、ラミレス。とってもいい天気ですね。風も心地良いし、きっと美味しい朝食になりますよ」

 フィアーナはラミレスの側に来ると、朝食の入ったバスケットを差し出した。

「それは期待してしまいますね。さ、座りましょう」

 ラミレスは先に布を広げ、ちょうどよい木陰に場所を取っていた。

「はい」

 フィアーナは久しぶりにゆったりできるのが嬉しくてたまらない。

 自然と笑顔になってしまう。

 腰を下ろすと、早速バスケットを開き、バターロールとサラダを取り出した。

 二人分の朝食と紅茶が並ぶ。

「焼き立てのよい香りですね。私のために早起きして作ってくれたんですね」
「ええ。久しぶりだからラミレスの口に合うかわからないけれど」
「では遠慮なく、いただきます」
「はい」

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~