★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

触れ合う2

各話表紙:聖女

「は、あぁ……」

 自分からもラミレスの名を呼びたいのに、喉から出るのは艶めいた喘ぎだけだ。

 それがもどかしく、フィアーナは熱い吐息を漏らした。

 ラミレスの唇はフィアーナの顎を掠め、そのまま薔薇のような唇と重なる。

 お互いの唇の温もりをじんわりと味わうように、丁寧でゆっくりとした動きだ。

 ラミレスの唇がフィアーナの唇を、蝶が戯れるように繰り返しふわりと食む。

 あまりにもやさしい甘噛みが、逆に物足りず焦らされている気分になる。

 そう思っていると、ラミレスが筋肉質の胸をフィアーナのやわらかな乳房に擦り寄せてきた。

 重なる肌の感触が心地よく、フィアーナは無意識にラミレスの背中に手を回す。

(ああ、これがラミレスの肌の感触なのね……滑らかで弾力があって、わたしと違ってすごく筋肉質だわ。それに燃えそうなくらい熱い……そんなに興奮しているの?)

 ラミレスの肌から野性的な雄の香りが濃く漂い、フィアーナはゾクゾクする。

 彼に奪われるのだと思うと更に体の芯が熱く疼く。

「んんぅ……」

 いつの間に侵入した肉厚の舌が、フィアーナの咥内をねっとりと這う。

 熱い舌が想いを染み込ませるように、ゆっくりと頬の内側を撫でていく。

 最初の激しい口づけが嘘のように、緩慢すぎると思えるほどゆっくりとした動きだ。

 まるでフィアーナのすべてを漏らすまいと、全身全霊で感じ取っているようだ。

 恐ろしくゆったりとした動きであるのに、与えられる熱は咥内を溶かしそうなくらい強烈だ。

 ふと見上げたラミレスは、熱く潤んだ瞳で自分を見つめている。

 その表情には皮膚が粟立つほどに凄絶な色気が漂う。

 激しいキスをされているわけでもないのに、勝手に腰が疼きお腹の奥がぐつぐつと疼く。

 その疼きはどんどん熱を増し、強く訴えてくる。

 早くラミレスとひとつになりたい、と。

「ん……ふう……っ……」

 咥内を熱く溶かされ、体の奥はじくじくと強烈な疼きを訴える。

 もどかしくてもどかしくて、焦れてたまらないフィアーナの目からぽろぽろと快感の涙がこぼれる。

 そんなフィアーナをラミレスは眩そうに見つめる。

 やがてゆっくりと唇を離すと、こう言った。

「フィアーナ、どうしてほしい? お前が望むとおりにしてやる」
「疼いて、たまらないの……なんとか、してぇ……」

 恥ずかしいことを口にしている自覚はあるが、それどころではない。

 もう完全に息が乱れ、平静ではいられない。

「もちろんだ。お前の体の奥の奥まで触れるが構わないな?」

 この期に及んでこれほど確認を取りたがるのは、ラミレスにも少なからず罪悪感があるからだろう。

 なにしろ神の意志に反し、癒やしを待つ者たちを裏切る行為なのだから。

「ん……」

 フィアーナはこくりと頷く。

 聖女の資格を失うことを忘れたわけではないが、今はそれよりもこの狂おしい疼きをどうにかしてほしいと思う。

(聖女失格だわ……だけど、ラミレスとこうしていられるなら、わたしは……すべてを失おうと、どんな罰を受けようと、かまわない――)

「あなたが好きよ、ラミレス。この世で一番、愛してる」

 フィアーナはこれまで生きてきた中で、最も美しい笑みを浮かべた。

 ただただラミレスへの愛情を伝えるためだけに。

 聖女になってから、初めてフィアーナが本心を口に出した瞬間だった。

 フィアーナはこの瞬間、すべての責任を負う覚悟と、ラミレスへの愛を貫くことを強く決意したのだ。

(わたしの全身全霊をかけて、あなたを愛すると誓うわ)

 その美しさにラミレスは一瞬頬を赤らめたが、すぐに微笑み返した。

「やっと、お前の口から聞けたな……どれだけその言葉を聞きたかったことか……」

 ラミレスの瞳にうっすらと涙がにじんで見えるのは、きっと気のせいではない。

 だからフィアーナはもう一度口にする。

「愛してるわ、ラミレス」

 ただ一人の、愛しい男性へ向けられる聖女の笑みは、それはそれは美しかった。

 

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~