★2/15:雑記更新 ・「嘘つき聖女候補~」と「座学の女王さま~」をメインに更新中。

不満をぶつける者たち3

各話表紙:聖女

「神官ともあろう者が、恥を知りなさい。神の教えを説く者が、他人を責めてどうします? それでなにか解決するんですか? 誰か幸せになるんですか?」

「で、ですが聖女さまはこいつのせいで……」

 フィアーナに矢継ぎ早に言われ、神官たちはタジタジだ。

「そんなことはどうでもいいのです。わたしはラミレスに対して恨みなど微塵もありませんし、逆に感謝しています。表沙汰にしていないから知らないのは仕方ありませんが、彼は影でわたしをたくさん助けてくれているんです。その彼に対して無礼な行為をすることは、わたしに対して泥を投げつけることと同意です!」

 フィアーナはラミレスを守りたい一心で声を上げ、二人組を睨みつける。

「せ、聖女さま……」
「お、おい、どうするよ……」

 聖女本人に叱咤されるとは思いもしなかった二人組から、先程の威勢は掻き消えていた。

「神の怒りを買いたくないのなら、今すぐここから出ていきなさい!」

 力強い声音で言い放ち、フィアーナは地下牢の入り口を指さした。

「もっ、申し訳ありませんでしたあっ!」

 フィアーナに気圧された二人は、逃げるように地下牢を出ていったのだった。

 神官二人組が地下牢から完全に立ち去ったのを確認すると、フィアーナはその場に膝から崩れ落ちた。

「はあぁ~……こわかった……」
「あなたにしては大胆なことをしましたね」

 フィアーナの身を案じたラミレスが、鉄格子の近くまで移動した。

 だがフィアーナとはまだ三十センチほど距離がある。

「だって、ここにくるたび、あなたの傷が増えてるんだもの。まずは現状を確認しなきゃって思って……まさか本当に石を投げるなんて……」

「それだけ聖女が人気者だということです、よかったですね」
「よくありませんっ! ラミレスのことをよく知りもしないで……」

 フィアーナは偽装してきた神官服の裾をギュッと握りしめた。

「聖衣もお似合いでしたが、神官服も中々に可愛らしいですよ」

「そんな暢気なこと言ってるから、さっきみたいに舐められて石を投げられるんです。また明日来ます」

「そうですか……フィアーナ、ちょっとこちらに来てくれませんか?」
「はい、なんでしょう?」

 フィアーナはとことこと鉄格子の真ん前まで移動した。

「睫毛になにかついてます」
「本当?」

 目を擦ろうとして上げた手をラミレスにそっと掴まれたかと思うと、そのままふわりと唇が重なった。

 花びら同士が触れ合うような、淡い口づけだ。

 すぐにお互いの唇は、離れた。

「あなたが単純でよかった」

 してやったりというような笑みをラミレスは浮かべた。

「な、な……っ!」
(見張りがいるのに、見られたりしたらどうするのっ!?)

「ですから、すぐ顔を離したでしょう?」

 フィアーナの心の内が丸わかりだといわんばかりに、ラミレスが答える。

 フィアーナは突然のことに顔が火照ってたまらない。

「それは、そうだけど……」

 心臓が暴れ馬のように脈打ち、フィアーナは落ち着かない。

「毎日のように、あなたに触れていましたからね。それが今は約二週間、あなたに触れていない……いい加減、禁断症状も出るというものです」

「……もう二週間も経ってしまったんですね。明日もまた来ますから……だからそれまで、これで我慢してください」

 言い終わると、フィアーナはラミレスの手を取り、その甲にそっと唇を押し当てたのだった。

 

↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~