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フィアーナとラミレス4

各話表紙:聖女 癒やしの聖女は~

「どうした、フィアーナ」
「しばらく、こうしていてもいいですか?」

「ああ。俺の性欲を試されているようでもあるが、お前のほうからくっついてくるのは珍しいからな」

 背中越しにラミレスが笑ったのがわかり、フィアーナはほっとする。

「そうですね……普段は人目が気になってできませんから。頻繁にすると、うっかり人前でやってしまいそうで怖いんです」 

 フィアーナはラミレスの背中に頬を寄せる。

 背中からラミレスの温もりが伝わってきて、心の底から安心できる。

 可能ならずっとこのままでいたいと思うくらいだ。

「お前らしいな。俺はいつでも大歓迎なんだが」

「そんなこと言ったらダメですよ。聖女をたぶらかした神官だって、周りから白い目で見られます」

「俺は構わない。それでこの先ずっとお前を独り占めできるならな」

 くすくすとラミレスは笑う。

 抱きつく自分の手にラミレスの大きな手が、そっと重なる。

(わたしを守るためだけに、こんなに固くなってしまった手のひら……愛おしくてたまらない)

「わたしは嫌ですよ、ラミレスが悪く言われるのは。何度もわたしを守ってくれて、本当に、本当に感謝しています。……でも、ときどき不安になるんです。昔みたいにラミレスが大怪我したらどうしようって。あなたがそこいらの騎士より強いのは十分理解しているのですけど……あまり無茶はしないでください」

「わかってる。俺はお前を幸せにするまで、絶対に死なない。なるべく無理もしない」

 そう言ってラミレスはフィアーナの手を取ると、誓いの儀式のように口づける。

「無理と言うなら、お前のほうが心配だ。昔と比べて今のお前には『穢れ』が溜まりやすい。その分お前の肌に触れる機会が増えるのは嬉しいが、あまり喜ばしいことじゃないな……」

「そうですね……でも、癒やしの力を待っている人たちがいる限り、お務めを中断するわけにはいきませんから」

(少しくらいつらくても平気。ラミレスが労ってくれるから、わたしはまだ頑張れる――)

 フィアーナは感謝の意味を込めて、もう少しだけラミレスを強く抱きしめた。

「あ、そういえばさっきの誘拐犯はどうなるんでしょう?」

 今更ながら思い出し、フィアーナはラミレスに問いかけた。

「ああ、奴らなら縄で縛って馬車の荷台に放り込んでおいた。ここに戻る途中で門番に連絡するように伝えといたから、明日には騎士団に引き取られるんじゃないか」

「そうですか。相変わらずそつがないですね、ラミレスは」

「お前が十四で聖女になってから十年だ。嫌でも手際が良くなる。明日も朝からお務めしなきゃだし、そろそろ寝たほうがいいぞ」

「はい、ラミレスもちゃんと寝てくださいね」

 フィアーナはラミレスを解放すると、微笑む。

「おやすみなさい、ラミレス」
「ああ、おやすみ。フィアーナ。起きたら迎えに来る」

 額におやすみのキスを残し、ラミレスは部屋を出ていった。フィアーナは扉が閉まるともう一度感謝の言葉を呟いた。

「今回も助けてくれてありがとう、ラミレス」

 夜はさらに深まり、フクロウの鳴き声さえもう聞こえない。

 夜空は宝石を散りばめたように、いつまでも星が煌めいていた。

 

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癒やしの聖女は~
~桜猫*日和~