Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

夜会3

各話表紙 偽りの公爵令嬢は~

(ダメ、振り向いちゃダメ……絶対キスされちゃう……)

 必死に自分に言い聞かせるティナーシェの瞳にカーティスの綺麗な顔が映る。

「ありがとう、ティナーシェ」

 間をおかず二人の唇が重なった。自分の意志に反してティナーシェは振り向いていた。

(ずるい、王さまはずるい……! わたしが拒めないとわかっていて……でも、嬉しい――)

 カーティスの温かな胸に抱かれ、愛おしむようにやさしく唇をついばまれると、先程まであんなに逃げ出したいと思っていた気持ちが嘘のように消えた。

 重なる唇からカーティスの想いがじんわりと伝わってくるようで、とても満ち足りた気分になる。

 ゆっくりと丁寧に唇を食まれると、穏やかな心地よさが広がってくる。

 やわらかな唇の感触が妙にくすぐったい。

 無理に唇を割ってティナーシェの咥内に入ろうとしてこない。

 触れるだけの口づけなのに、やわらかな唇を通してカーティスの愛が染み込んでくるようだ。

 あまりの心地よさと安心感に、ティナーシェは自分の身を完全にカーティスに預けた。

 それと同時にカーティスは唇を離した。

「もっと……」

 無意識にティナーシェの濡れた唇から、本心がこぼれ落ちた。

「さっきはあんなに恥ずかしがっていたのに」

 うっとりと夢心地のティナーシェを見つめながら、カーティスはくすりと笑った。

「こんなのまだ序の口だ。婚約発表がすんだら溺愛しまくるからな」
「ん……」

 なんだかとんでもないことを聞かされた気がしたが、ふたたび唇が重なり、ティナーシェは甘い快楽に身を委ねたのだった。

 

 一週間が過ぎた。

 すでに日は落ちぽつぽつと街の灯が見えはじめた頃、城内は大勢の客で賑わっていた。

 なぜかというと今夜は数ヶ月に一度行われる王主催の夜会だからだ。

 夜会の主な目的は交流だ。

 交流といっても種類は様々で、商人上がりの貴族はよく売れる商品の話になるし、女遊びが激しい貴族は当然それに相応しい女性を目当てに声を掛けるだろう。

 ダンスを楽しむ者もいれば、当然食事目当ての者もいる。

「こんなにたくさん……気後れするわ……」

 ティナーシェは想像以上の賑わいに溜息を吐いた。

 ブレイユ国でもこのような夜会はあったが、ここまで大人数のものは経験がなかった。

(厨房の人たちも侍女たちも大変ね……わたしもなにか手伝えたらいいんだけど)

 公爵の地位を与えられていても、元侍女の癖はそう簡単に抜けない。

 ティナーシェは空のグラスをみると、つい注ぎ足したり新しい飲み物を持って行きたくなる。

 なにもしないでいるのが落ち着かない。

 それにカーティスが準備してくれたこの純白のドレスも、うっとりするほど肌触りがよくて、花びらのように軽く美しいデザインなのはよいが、自分が着てもいいのかと思うほど素敵なものだ。

 カーティスからは自分の目の届く範囲で自由にしていいと言われている。

 今暫くはほかの貴族の相手をしなくてはならないので、適当に過ごしていてくれということだった。

 ティナーシェは壁際に立ち、カーティスを見つめる。

 どれほど多くの人がいようと、カーティスのことだけは真っ先に見つけられる。

 王としての正装に近い衣装を身に纏うカーティスは、誰よりも人目を引き、見目麗しい。

 ロイヤルブルーとホワイトを基調とした服がとても良く似合っている。

 会場の女性の視線はほとんどカーティスに向いているといってもいい。

「こんな壁際に立ってないで、ダンスでも踊ってきたらいかがです、ティナーシェさま」

 ふと隣を見るとヴァイスが立っていた。

 ヴァイスも夜会用の衣装でいつもより数段素敵に見える。

「一応踊れるようになりましたが、まだ自信がないので……それにしてもすごい人ですね」

「ええ。重大発表のために手当たり次第招待状を送りましたからね」

 ヴァイスは満足気に笑みを浮かべる。

「ああ、だからこんなにたくさん集まったんですね」
「ええ。すべては陛下とティナーシェさまのためです」
「え?」

 どういうことかとヴァイスを見上げれば、笑顔で流された。

 

20+
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
↑読了ついでにポチッと(*´ω`*)桜猫にちゅ~るが贈られます。
偽りの公爵令嬢は~
~桜猫*日和~