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王からのお願い5

各話表紙 偽りの公爵令嬢は~

「昔から体だけは丈夫なんです」

 カーティスに気遣われるとティナーシェははにかんだ。

 病弱な弟と違って、ティナーシェは本当に昔から病気知らずだった。

「まあ立ってないで座れ。私とヴァイスしかいないから楽にするといい」

 カーティスに促され、ティナーシェは席についた。

 テーブルの上にはストール以外に、本が数冊置いてある。

「カーティスさま、身の回りのお世話をすると聞いていますが、わたしはなにをしたらよいのでしょうか?」

 わざわざ私室に呼び出すくらいだ、どんなことを命令されるのかとティナーシェは軽く身構える。

 侍女としての経験しかない自分に務まる仕事なのか、多少不安が先に立つ。

「そう気負うな。難しいことじゃない。君には私の話し相手になってもらいたい」
「話し相手、ですか? なぜわたしなんかに……」

 ティナーシェの疑問を露わにした表情が可愛かったのか、カーティスはくすりと笑う。

「わかりやすくいうと、私の息抜きにつきあってほしいんだ。だめかな?」

「……わたしでよろしいんですか? もっと教養豊かで素敵なお相手がいらっしゃると思いますが」

「君だからいいんだ。そうだな、君が納得する理由を一つ挙げようか」
「はい」

 自分でなければならない理由があるとわかり、ティナーシェはほっとした。

「それはだな、君がこの国の者ではないからだ。身内には言えないが他人なら話せることもあるだろう?」

「あ、そういうことですか。わかりました、謹んでお受けします」

 日々、国王という重責を担っているのだ。

 きっと自分には想像もつかない問題を抱えていたり、気苦労も耐えないことだろう。

 そして、信頼しているからこそ漏らすことのできない愚痴もあるというものだ。

 侍女として王女に仕えてきたティナーシェには、同僚だからこそ言えない愚痴があることもよくわかっていた。

 だからカーティスの考えに共感し、受け入れることにした。

「ありがとう、ティナーシェ」
「どういたしまして。ですが、国に帰ったら言いふらしてしまうかもしれませんよ?」

「それはないな。君は分を弁えていて空気も読める。さらに素直な心の持ち主だ。短期間といえど、ともに過ごした仲間を貶めるようなことはしない」

 自信たっぷりに告げるカーティスに、ティナーシェはじんわりと胸が熱くなる。

(わたしが訳ありだとわかっているのに、それでも信頼してくれているんだ……こんな……あなたの命を奪おうとしているわたしを)

「買い被りすぎです、いつ裏切るかわかりませんよ?」
「そのときはそのときだ。だが私は断言する。君は、絶対裏切らない」

 微塵もブレることなくカーティスに言い切られた。

 だがティナーシェは不快になるどころか、こんなにも自分を信じてくれる存在がいるのだと、心に暖かな火が灯ったような気がした。

 

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偽りの公爵令嬢は~
~桜猫*日和~