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暴かれた秘密3

各話表紙 偽りの公爵令嬢は~

 意外な王の発言にティナーシェは困惑する。

 なにか極刑でも言い渡されると覚悟していたのに、命を預かるとはどういうことか。

「一度手放そうとしたんだ、私の好きにしてもいいだろう? 悪いようにはしない。あの姫君にはいい加減私も頭にきているんだ。この機会に灸をすえてやろう」

 カーティスは少しばかり意地の悪い笑みを浮かべた。

「で、でも……あの、姫さまにひどいことしないでください……」

「こんな目にあってまで、まだ彼女のことを心配するのか。君は私を殺すための手駒にされたんだぞ。それがどれほど危険なことか理解しているのか?」

「それは……大体は……」

「なら、仮に君が私の暗殺に成功したとしよう。だが、その後どうする? 逃走経路は確保してあるのか? たくさんの衛兵たちからどうやって逃げ切る? 見たところ君は一人のようだが、手引きしてくれる仲間がいるのか? 君の姫君はそこまで手配してくれているのか?」

「あ……っ」

 カーティスにここまで言われて初めて気がついた。

(そうだ、わたし、王さまを殺したあとのことをちっとも考えてなかった……無事に逃げ切ることなんて、私にできるはずがない。ここまでの道のりだって長すぎて全然覚えていない……)

「自分がどれほど危険な状況にあったかわかったようだな。おそらく君は捕まり死刑になったことだろう。あの姫君は、最初からすべての罪を君にかぶせ知らぬ存ぜぬで通し、捨て駒にする気だったんだろうな」

「…………」

 あまりのショックにティナーシェは絶句する。

 二年とはいえ精一杯尽くしてきた主が、自分の命をなんとも思っていなかったのだ。

 もう涙すら出てこない。

「なんて馬鹿なの、わたし……ラーダのためにここまで来たのに……」

 自分の愚かさに呆れ、がくりと体から力が抜ける。

 ティナーシェの体が後ろに傾く。

 このままではベッドから落ちてしまう。

「おい、大丈夫か」

 薄れゆく意識の中で、逞しい腕に抱かれるのをティナーシェは感じた。


 だがほんの十五分ほど意識を手放していただけで、ティナーシェはやがて目覚めた。

 後ろに倒れたはずなのに、なにかに寄り添っている。

(この温かい感触は……?)

 いい香りがして心地よい。

 ティナーシェはもっとそれを味わいたくて、頬ずりした。

「猫みたいだな」

 頭上から聞き覚えのある、艷やかな男性の声がした。

 はっとして見上げれば、カーティスが自分を見つめていた。

「え、うぁ……!?」

 自分がカーティスの胸に頬ずりしていたと分かり、ティナーシェは離れようと身を捩る。

 だがカーティスにしっかりと抱きしめられていて、逃れることは叶わなかった。

「じっとしていろ。君は極度の緊張とストレスで疲弊してるんだ。今は休養が必要だ」
「へ、陛下……!」

 離してくれと必死に目で訴えるが、カーティスは素知らぬ振りをする。

「名前で呼べと言ったはずだが?」
「そんな、恐れ多いことです……わたしがただの侍女であることは陛下もご存知のはず」

(わたしはもう偽りとはいえ、公爵令嬢ですらない。王さまを名前で呼ぶなんて令嬢という立場だから、まだ許されること。侍女のわたしなんかが口にするなんて!)

「陛下、そんな怖い顔してたら、ティナーシェさまは反発するだけですよ」

 ティナーシェが気を失っている間に、ヴァイスが寝室に来ていた。

 その手には陶器でできたコップを持っている。

「そうはいうが……」

「すみませんね、ティナーシェさま。この人はいい大人なくせに、たまに子供っぽいところがあるんです。嫌でなければ名前で呼んであげてください。それはもうペットのような感覚で」

 渋るカーティスを尻目にヴァイスが穏やかに告げた。

「誰がペットだ」

 

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偽りの公爵令嬢は~
~桜猫*日和~