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王女様は賭けレースがお好き4

各話表紙:護衛騎士 護衛騎士は~

「純粋……ですか」
「その微妙な間はなんなのよ」
「いえ、純粋な女性が賭けレースに来るものなのかと、疑問に思っただけですよ」

 と、のたまうエリーアスだが、まったく疑問に思っている様子がない。

「嫌味でしょ、それ」
「おや、理解できたんですか」
「人のこと馬鹿にして……」

(顔が良くても性格がいいとは限らないわよね)

「愚かなあなたも嫌いではありません」
「なんか……すっごく嬉しくない」

 褒めてるのかけなしてるのかわからない物言いに、思わずユージェニーが渋面になっていると、

「そろそろレースが始まるようですよ」

 とエリーアスに促された。

 巧くごまかされた気がしなくもないが、彼女はレース会場に視線を移す。

 愛らしいワタモノたちはそれぞれのコースにスタンバイしている。

 レースは二百メートルの一直線勝負だ。

 しかしこの愛らしいもふもふ達は、まっすぐ走っていくことは少ない。

 なにも訓練されていないのだ。

 逆走したり場外へ出ていこうとしたりするのはお約束である。

 だからこそ、予想するのが難しい。

 十五分以上経っても一匹もゴールしなければ、ゴールに一番近いワタモノが一位ということになる。

 水牛の角から作られた角笛から、プアァアンとラッパのような音が響きレースが始まった。

 しかし、ワタモノたちは、動かない。

 ワタネコはその場で毛づくろいを始めた。

 ワタウサギは鼻をひくひくさせ、参加者が投げてよこした草をはむはむと食べている。

 ワタイヌは逆走する。ワタブタは地面を短い前足で掘る。

 ワタネズミだけが、一番に前に進み始める。

 しかし一メートル進んだところで止まってしまった。

 レースを見守る観衆からは笑い声が漏れ聞こえる。

「ワタブタちゃん、動くんだー!」

 ユージェニーは自分が賭けたワタブタを応援する。

 他のワタモノより一回りおデブちゃんなのだが、直感でこの子だと思い、持ってきたお金二十万ルナー全額つぎ込んだのだ。

「絶対にワタブタだけはありえないと思ったんですが、大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。今までわたしが賭けて負けたことなかったでしょ?」

 ユージェニーは自信たっぷりに笑みを浮かべる。

 なぜか彼女は賭け事にめっぽう強く、これまで負けたことはない。ただの一度もだ。

 そして彼女自身、勝つことを信じている。

「確かにそれだけは否定できませんね」

 言葉とともに、エリーアスは小さな溜息をついた。

「なんでちょっと残念そうなのよ、失礼ね」
「気のせいですよ」

 そのとき会場がどっとどよめく。

 逆走していたワタイヌと止まっていたワタネズミが一気に走り出したのだ。

 ワタイヌとワタネズミに賭けた者たちの応援に熱がこもる。

 かと思えば、草を食んでいたワタウサギも、ぴょこぴょこと前進し始めた。

 続けて、ワタネコがワタネズミを追いかけて走り出す。

 一気に観客達のテンションが上り、各ワタモノたちへの応援の声があちこちから響き渡る。

 しかし、ワタブタを応援する声は聞き取ることが出来ない。

 他のワタモノと比べてあまりにも太って丸いワタブタは人気がなかったのだ。

 それでも見た目はとても愛らしいのだが。

「……本当に大丈夫なんですか? あなた二十万ルナー全部賭けてましたよね」

「ええ。勝負は最後までわからないものよ。わたしはあのおデブなワタブタちゃんを信じる! 絶対に負けたりしない。だってわたしが選んだんだもの」

 未だにスタート地点で地面を掻いているワタブタに期待の眼差しを向けるユージェニーだ。

「さようで」

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護衛騎士は~
~桜猫*日和~