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王女様は賭けレースがお好き2

各話表紙:護衛騎士 護衛騎士は~

 天然記念物であるため、本来捕獲は禁止されているが、長年続いてきたワタモノレースは世間でも暗黙の了解で咎めるものは少ない。

 天然記念物で、しかもとびきり可愛く癒されるワタモノレースは子供から大人まで人気が高い。

 本来子供も出入り禁止であるが、最近では親子で参加するケースが増えている。

 レース会場は一つのサーカスのようだ。

 大きなテントが張られ、入り口で入場料を払い中へ入る。

 賭けに参加する者は同時にレース券も買う。

 楕円形の会場は多くの人で埋まり、場内はすでに熱気にあふれている。

 テントの外には小さな露店も立ち並ぶ。

 稀に他国から来たスポンサーが付き、破格の儲けを手にすることが出来る場合もある。

 金の亡者からすれば参加しないわけがないのだ。

 少し不満そうにユージェニーが言うが、エリーアスはまったく表情が変わらない。

 眉一つ動かさない。そして淡々と続ける。

「私の立場からすれば、頻繁にこのような場所へは訪れてほしくありません。表向きは和気藹々とした雰囲気ですが、人の集まるところには危険がつきものと言ってもいいでしょう。それに……」

 それから彼は声のトーンを低くし、彼女の耳元にそっと顔を寄せて告げる。

「あなたは、この国の王女なのですから」

 不意に耳元で囁かれ、ユージェニーはびくりと体を震わせた。

 驚いたこともその理由の一つだが、この見目麗しい男はたびたび不意打ちで、こういうことをしてくるので心臓に悪い。

(しかも、わざとやってるのかそうじゃないのかも区別がつかないし……無駄にいい声だし。こいつが護衛に付き始めた頃は特になんとも思わなかったのに、最近はこういうことをされると腰が疼いてしまう。無駄に見た目が良いからときめいちゃうのよね。美形は得よね)

「距離が近いわよ」

 不覚にもときめいてしまったことが恥ずかしくて、ユージェニーはぶっきらぼうに言い放つ。

「……今、少しときめいたくせに」
「……!」

 ぼそりと呟かれ、ユージェニーは頬を淡く染めた。

「い、言っとくけど別にあなたが好きなわけじゃないから!」

「知ってますよ。あなたが面食いで私の外見が好きなことは。まあ、他にも色々とあなたのことは知っていますが」

「なんですって……」

 驚きを隠せない。

「だって私、有能ですから」
「うぐ……」

 そうなのだ。

 この美しい護衛は自分でも口癖のように言うが、本当に悔しいくらいに有能なのだ。

(騎士としても一流で素手でも剣の勝負でも負けるのを見たことが無いくらい……。酒場で揉め事が起きたときも、あっという間に全員倒しちゃったし。かといって脳筋じゃなくて、頭も切れるのよね。護衛としてこんなに頼りになる人物はほかにいない、のだけど)

「そういうところが無性にイラッとくるわ」
「さようですか」

 相変わらずの無表情で、声音もまったく動揺の色が見えない。

 何事にも動じず、いつでも淡々としている彼と話していると、本当に美しい人形なのではと錯覚してしまいそうになる。

「あなた初めて会った頃から全然変わらないわね」
「それは私が成長していないとおっしゃりたいのですか?」
「なんでそうなるのよ……あなたと会ってから五年経つけど相変わらずだなぁって思っただけよ」

(本当、出会った頃のまま無表情なのもそうだし、美形っぷりも健在だし。あと臣下のくせになんか偉そうなオーラが漂ってるのも)

 ユージェニーとエリーアスの出会いは、五年前。

 彼女がまだ十四歳で、エリーアスは当時二十歳だった。

 彼女の父であるエステルバーム国王が、天真爛漫に育ち、しょっちゅう城を抜け出し近くの町や村にお忍びで出かけているユージェニーのことを知り、その専属護衛騎士としてエリーアスが任命されたのだ。

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護衛騎士は~
~桜猫*日和~